第84話 私の中での評価が逆転していく



「ごめんなさい、プレヴォ。ロベルト様の悪口はこれから控えてくれるとありがたいかも……。あと、婚約破棄に関しては……やっぱりやめようかと思っています」


 プレヴォに悪気がない事は理解しているし、私の事を思っての行動であろうことも理解している。


 だからこそ私はプレヴォに対して私の今感じている気持ちと、それによって変化した答えを伝える必要があるだろう。


「……何故っ?」

「それは、実際に私がロベルト様と顔と顔を向き合わせて本心で語り合ったからこそとしか今は言えません。ごめんなさい。けれど私はロベルト様がそんなに悪い人とは思えなくなってしまったのも事実だから……。ちゃんと自分の目でしっかりと確かめてからでも良いのかな? と、そう思えるくらいにはロベルト様は信頼できる人物であると判断しました……」

「オリヴィア……それはロベルトの罠だっ!! 甘い言葉で誘惑してオリヴィアを惑わしているだけだっ!! 今までロベルトにされて来た事を思い出せっ!! 忘れた訳ではないだろうっ!!」


 しかしながらプレヴォは私の出した答えに納得いっていなのか強い語気で私に問い詰めてくるではないか。


 その姿は正にプレヴォが今まで散々ロベルトに対して苦言を呈していた行動、自分の思い通りにならなかったら強い言葉で思い通りに動かそうとする行為そのものではないか。


 ロベルト様と一対一でちゃんと話し合った後にプレヴォと話せば話す程、ロベルト様とプレヴォに対する私の中での評価が逆転していくのが分かる。


「ごめんなさいプレヴォ。これ以上プレヴォと話していると、私はプレヴォの事が嫌いになってしまいそうだわ……。今は感情が高ぶってしまっていて冷静な判断ができていないと思うから、すこし時間を空けてから会いましょう?」


 私はこのままプレヴォの事を嫌いになんてなりたくない。


 だから一旦落ち着いてから、時間を置いて話そうと提案する。


「ふざけるなっ!! 普通に考えてロベルトの奴がクズだというのは分かりきっているだろうっ!? さっきも言ったけど君は今ロベルトの甘い言葉に騙されているだけなんだっ!! 考え直せっ!! 何でそんな簡単な事すらも分からないんだよっ!!」

「…………プレヴォ、今まで私に対して優しい言葉をかけてきたのは、私を騙して手に入れる為の甘い言葉だったの? そして手に入らないと、自分の思い通りにならないとなるとそうやって強い言葉で動かそうとするの? それって、散々プレヴォがロベルト様に対して指摘してきた行為そのもののように思えるの……」


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近況ノート(限定)にて92話(ストック分)まで更新いたしました。

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