第83話 今までの行動に全て理由が付く
元々は同じクラスであったが顔見知り程度でしかなかった。
しかし私が校舎裏で泣いている所を見られてしまい、その時に溜まりに溜まった感情が爆発してプレヴォに愚痴を言ってからは、良い男友達という関係を築けていたと思う。
今思うと、何故私が人目に付かない校舎裏で泣いている事に気付けたのか違和感を覚えてしまう。
そもそも私は『普段絶対に人が来ない場所』で泣いていたのだ。
言い換えると『そこに用事が無ければ行かない場所』である。
修練をするといっても、剣を振れるようなスペースも無ければ、そんな狭い場所では魔術を行使するのも危ないような、そんな場所である。
ハッキリ言うと『一人っきりになりたい』と思わなければ来ないような場所なのだ。
しかしプレヴォは私のように悩んでいるようにも見えないし、むしろ一人で私のようにうじうじと悩むような人物にも見えない。
考えられるとしたら『私の後を付けてきた』としか思えないのだ。
それは、もしかしたら以前から私に好意があり、他人の婚約者となってしまった結果焦っての行動だったのかもしれない。
私との接点を探っている時に都合よく私が泣いていたので手を差し伸べた。そしてロベルト様の物にしたくないから私を慰めるフリをしてロベルト様の悪口を吹き込み、そして常に私の側に居る事によってロベルト様の機嫌を損ね私に奴当たるように仕向け、婚約破棄になるように誘導したのではなかろうか?
そう思うとしっくり来る。
不器用で私を傷付けてしまうのだが、それでも救おうと行動に移してくれた人
甘い言葉や私が欲しい言葉をささやいてくれるものの、私を救おうとは動いてくれなかった人
そんな、打算的かつ自分にとって都合のいい事を考えてしまう私が嫌になる。
実際に私が潰れそうになった時に精神的な支えになってくれたのは紛れも無い事実であるのに……。
しかしながらロベルト様は今、私がプレヴォに心移りをしてしまっている事を感付いて、私の元から離れようとしているわけで……。
そこで私は思う。
もしかしたら元からロベルト様は私の元を離れるつもりだったのではないのか? と。
それならば今までの行動に全て理由が付く。
「ロベルトとは話してきたかい?」
「……はい。話してきました……」
「何もされなかったか? 暴言を吐かれたり、殴られたりとか? もしされたのであればこの俺がやり返してあげるからっ!」
そんな事を考えながら教室に戻ると、プレヴォが駆け寄って来てくれて、ロベルト様から何もされなかったのかと聞いてくる。
以前まではその言葉に救われたのだけれども、今は何故か私の恩人の悪口を聞かされているみたいで気分が悪くなる。
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