第76話 これはこれでなかなかにカッコイイ
そして俺はこいつら親族の口から噂が広まった結果、将来の流れが大幅に変わる事を考慮して今回の件については他言無用の契約を結ぶのであった。
◆
その後俺達家族は近くにある高級宿へ一泊して、翌日父親が経営している領地へと即帰る流れとなった。
そもそもあの場所へ行った理由も糞ジジイの誕生日を祝う為であって、縁を切ったのであればもう祝う必要もわざわざとどまる必要もないだろう。
「お兄様は、どうやってドラゴン達を従えたのでしょうかっ!?」
「流石わたしのお兄様ですわねっ!! 誇らしいですわっ!! ですが、それを他人へ自慢する事ができないというのが辛いですわね……っ」
「でもお姉さま、その分僕はあのいけ好かない奴らに一泡吹かせた事にスッキリしたので、今はそれだけで十分ですっ!」
「確かに、あれは物凄くスッキリしましたわねっ。いつもしつこく私にセクハラまがいの言動や要求をしてくるような奴らもお兄様に土下座をしている様は最高にスッキリいたしましたわっ!!」
あの一件以降妹弟達からはやけに懐かれてしまったようで、常に俺の周りに付いて来ては目をキラキラしながら話しかけてくるようになった事に関しては素直に嬉しいし、普通に可愛い。
というか妹よ、親族たちからセクハラまがいな事をされていた事を今さらながらに知ったのだが?
もしその事を知っていたら、そんな事をしでかした奴らに地獄を見せてやったというのに……。
しかしながら一度〆た相手に今一度〆る為に戻るのも悪役としてカッコ悪いので、この件に関しては心に留め、常に俺様の妹にしでかした事を後悔させられる機会が来る時を待つ事にしよう。
「しかし、まさか我が息子であるロベルトがあれほどの力を持っていようとは、父親でありながら知らなかったぞ。ここ最近頭脳明晰である事が分かり、魔術や武術にも秀でているのではなかろうかと思ていたが、その上を軽く上回っていたとは……っ! 当然我もロベルトのお陰でかなりスッキリしたぞっ!! なぁ母さんっ!!」
「えぇ、本当にっ!! あのバカ共の悔しそうな表情ったら、もう最高よっ!! ロベルトっ!!」
そして妹弟だけではなく両親も上機嫌であり、前世の記憶が戻る前と比べるとかなり明るい家庭になったと言えよう。
まさか俺が裏で悪役として暗躍しようとしている事にすら気付いてすらいないだろう。
表向きは良い家族、仲いい家庭、しかし裏では悪の組織のトップ。
フム、これはこれでなかなかにカッコイイ。
なにがカッコイイかというと、悪側にも守るべき家族や大切にしている日常があるという矛盾が、実に良い……っ!!
有名どころだと某死神のノートを手にした者とか……。
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