第74話 高段位魔術
すると糞ジジイは今まで澄ました表情から一転、恐怖の表情に染まっているのが見て取れる。
それでも必死に隠そうと態度だけは大きく見せようとするも、声や身体が震えているので全く隠せていないのが滑稽である。
しかし、ドラゴンだけというのも味気ないというものであるし、こういう機会も中々ないので、折角だし俺がテイムした魔物たちをここで披露する事にする。
当然召喚するのは俺がテイムした、ゲームの知識によって選りすぐった自慢の魔獣たち全てである。
漆黒の身体に屋敷よりも大きな巨躯を持つドラゴン、ニーズヘッグに続き、この世界でも討伐ランクがS以上とされる魔獣たちを次々と召喚していく。
その数優に十体は超えており、魔獣を従える俺は正に魔王といった風に見えるだろう。
「これは……一体……どうやってテイムしたのじゃ……っ!?」
「あ? 魔獣をテイムする方法を忘れたとか糞ジジイはボケたのか?」
「あ、あり得ぬ……魔獣をテイムする場合は力でどちらが上かまず立場を明確にしなければならない。その力に従う意思を見せるか、それでも抵抗するか、逃げるかという選択肢で従う意思を見せた魔獣だけがテイムできるはず……。であればロベルトはここにいる魔獣たちよりも強いという事になるではないか……。どの魔獣も一匹で国一つを滅ぼしかねない程の魔獣ではないか……っ。そんな事があり得る筈がない……っ」
「あり得るからこうしてテイムしたんだろうが。そんなに納得できないのであれば今俺が扱える魔術の中から一つだけ高段位の魔術を見せてやるよ。光魔術段位十【神の裁き】」
確かに俺であっても目の前に今まで経験して得た常識の範疇を超える出来事が起きている場合、それを受け入れるのに時間がかかるのも理解できるし、何らかの方法で簡単にテイムをしたのだと思われても癪なので、本当は手の内をさらに見せるのもどうかと思うのだが、どうせ見せた所でここにいる親族たちは俺の脅威にはなりえないだろと判断した俺は、一つだけ高段位魔術を行使して見せてやることにする。
『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
行使した魔術は光魔術段位十【神の裁き】によって空は黒い雲に覆われ、その雲の中から無機質かつ巨大な美女が言葉ではない何かを叫びながら顔を出し始める。
「な、何だ……あれは? わ、儂はこんな魔術など知らぬっ!!」
その光景に周囲にいる人物は恐怖で固まり、糞ジジイは目を見開き喚きながら無機質で巨大な美女を見つめる。
次の瞬間、雲の切れ間から出てきた無機質な美女が持つ大剣を振るうと、糞ジジイが生活している屋敷が真っ二つに両断され、そこには底が見えない程の崖が斬撃の跡としてできていた。
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