第69話 儂が直々にお前を躾けてやろう



「ほう、近い将来クヴィスト家を潰しかねないと思われているお前が、良くアントニーに偉そうに上から目線で説教ができるな。そして、お前の言い分だとこの儂にそんな事を言ってタダで済むと思っているのだったら考えは甘いな。どうせお前の事だ。単純に力で勝てないから権力を行使したのだろうが、クヴィスト家を騙って可愛い孫たちを傷つける事をこの儂が認めるとでも思っているのだとしたら、今からその考えを改めさせる為に説教をさせなければならぬな」

「説教? お前が? この俺様にか? 冗談きついぜお爺様。むしろこの俺様が今からお爺様に説教をしてやろうか?」


 流石にお爺様が俺に向かって説教をする資格もなければ、されるつもりもないどころか、むしろ俺がお爺様に向かって説教をする事は逆に沢山あるのでこの機会に説教をお爺様にしてやってもいいくらいだ。


 その旨をお爺様に伝えると、孫の中で唯一憎いと思っている俺から反論どころか説教をすると言われたのがよっぽど腹が立ったのだろう。


 お爺様は顔を真っ赤にしながら睨め付けてくる。


「……お前をクヴィスト家の次期当主から降ろしても良いのだぞ?」

「お爺様が? 冗談きついですね。もう年でボケて来たんですか? 今の当主はお父様ですので、現当主でないお爺様にそんな権限がある訳がないでしょう。ふざけているのですか? もしそうならばそこのアントニー同様にお爺様も躾が必要ですか?」

「……おい、ダグラス。お前の躾はどうなっているんだ?」

「おい、クソジジイ。テメーと話しているのはこの俺様だろうが。あとお父様じゃなくてお前の立ち回りがゴミなせいでこんな今回の問題に発展したという事も理解できないんだったらもう喋るんじゃねえよ。お前が孫可愛さで俺を生贄にした結果がこれだろうが。生贄にした孫に噛みつかれて理性を保てられないくらい切れてしまい自分をコントロールできないから余計に面倒くさくなっているんだろ? お前が、他の孫に対して嫌われる覚悟を持ってしっかり叱って来なかったツケがこれであり、お父様の子育てや躾など関係ないだろうが。むしろお父様よりかはクソジジイの孫に対する躾の問題であり、そのツケをお父様に拭かせようとするんじゃねえよ」


 そう俺が言うとお爺様の顔は先ほどまで真っ赤で、まるで鬼のような表情をしていたのだが、スッと表情が消え、明らかにブチ切れているのが伝わってくる。


「よかろう。そこまで言うのであればこの儂が直々にお前を躾けてやろうではないか」

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