第62話 俺には効果的だった
因みに今俺は元クヴィスト家当主、俺のおじい様の誕生日という事で少し遠くにある隠居先にてパーティーという名目の親族の集まりへ参加する為に馬車に揺られていた。
おじいさまの隠居先は馬車で約三日かかる場所にあるのだが、その馬車の中に何故かサーシャも乗り込んでいた。
何故サーシャも来るのかと聞いてみると本人曰く『主の護衛をするのは騎士の役目だっ!! ロベルト様は安心して馬車の旅を楽しめばよいっ!!』と自信満々に言い放ってきたのだが、俺はサーシャの事を騎士として受け入れた記憶が無いんだが……。
しかしながらサーシャのキラキラした目をみてしまうと『いや、お前俺の騎士ではないから』などとは言い難い。脳みそ筋肉なのでたまたまだとは思うのだが、良心の呵責に訴えるやり方は、どうやら俺には効果的だったようである。
それに、やはり悪役と言えば女騎士を横に侍らせてこそというのもあるので、黙っていればそれなりに美人でカッコ良く見えるので騎士としても映えるだろう……黙っていれば。
ただ、無理やり侍らせた訳ではないというのが少しばかり俺の美学的に引っかかる部分ではあるのだが、逆に闇落ちした女騎士と思えばこれはこれでむしろそのマイナスポイントが一気に魅力へと変わるので、なんだかもうサーシャを断る理由を見つけ出す事の方が面倒くさいと思い始めた時点で、俺はサーシャを連れていく事に決めた。
マリエルとサーシャもここ最近よく会話をしているのを見るに仲は良いみたいだしな。
それを言うと二人とも否定するのだが、そんな所でテレなくても良いのに、なんて思ってしまう。
そんな俺達を見たお母様は『あらあら、両手に華ですわね』と微笑みを浮かべながらそんな事を言うではないか。
流石に否定しようかとも思ったのだが、この二人は見てくれだけで言えば確かに無駄に美人であり、しかも黒髪クール系と金髪カッコイイ系で端から見れば美女二人を両脇に侍らしているように見えてしまう為、否定しようにも否定できないではないか。
まぁでもお母様が嬉しそうにしているのならば、それが真実かどうかなんかどうだって良いのかもしれない。
「……お兄様」
「ん? 何だ、ブライアン」
そしてこれからさらに、親族関係で面倒くさい事になるだろうことは間違いないので今からげんなりしていたその時、三歳下の弟であるブライアンが珍しく俺に話しかけてきた。
因みに俺の
「何故お兄様は今まで本当の自分を隠して愚者を演じて来たのか教えて欲しいのですが……駄目でしょうか?」
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