第59話 流石冒険者ギルドの娘だ
「しかし──」
「そこまでして、寄付金という名目で決して安くない金額を学園側に支払ってきた我が家の嫡男である俺へ、その当人である俺が看過できないと判断した事に文句を言うのであれば、お前が学園に我が家と同じくらい寄付をして『だからこの講師の、今回犯したミスは帳消しにして欲しい』と言えばいい」
「そんな金を持っているい訳がないだろうっ!!」
「だったら文句を言うんじゃねぇよ。自分の思い通りに人を動かしたい。その為には当人の価値観等どうだって良い。それに生じる金銭は一銭も支払いたくはない。舐めているのか? お前。良いか? 一度しか言わないからよく聞け。現状を変えたいというのであればお前の力、資金でどうにかしろ。口だけは出しますというヤツの言う言葉など聞く耳は持ち合わせていないんだよ」
「ぐぬ……っ」
「ま、そういう訳だからそこの講師も良い知らせが来るように祈っておくことだな。行くぞ」
とりあえずはプレヴォの悔しがる表情も存分に見れた事だし、考え方が俺とプレヴォとでは異なる以上今回の件は互いに話し合って答えが出るものでもないので、俺は最後に講師に向かって一言脅し文句を言うと教室から出て行く事にする。
「はい、ロベルト様」
「お、良いねっ! こんな授業なんか抜け出して修練所でも行こうぜっ!!」
「……貴女はロベルト様の側仕えでも奴隷でも友人でも婚約者でも無いのですから、着いて来る必要は無いのですが?」
「あ? 私はロベルト様に償いをしていかなければならないからな。であればロベルト様の側に常にいるのが普通だろう?」
「別に側に居なくとも償いはできるでしょう?」
「それでは駄目だね。私は常いかなる時であろうと即座にロベルト様の役に立てるようにという高い意識で心がけているだ。むしろマリエル、君の方がそんな意識の低い考えでロベルト様の側にいるのだというのであればいつでもその場所を変ってやっても良いぜ?」
「はぁぁぁあっ!? 流石の私もそれにはキレましたね。一線超えましたよ? サーシャさん」
そこでスマートに教室から出る事ができればかっこよかったのだろうが、サーシャが俺に着いて来ると言いマリエルがそれに噛みつくではないか。
サーシャの事である。
どうせ椅子に座って授業を受けるのが退屈だからと言って俺を使い教室から抜け出そうという魂胆なのだろうし、あわよくばそのまま俺達を修練場へと連れて行き、身体を動かしたいのだろう。
「流石冒険者ギルドの娘だ」
「へへ、褒めても何もでないぜ?」
「遠回しに悪口を言われているって気付きなさい」
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