第58話 自分のケツは自分で拭け



 あぁ、気持ちいいっ!!


 過去の自分がしでかした行いのせいで信頼が無くなっているからこそ、こんな理不尽な対応をされても致し方ないという事には一切触れずに相手を言い負かすというのは正に悪役ムーブと言えるのではないだろうか?


 いや、チンピラムーブレベルなのかもしれないが、チンピラだろうが三下だろうが小悪党だと周囲から思われようが『主人公に屈する』よりかは、それが例え口論であろうとも屈しない選択を取った方が良いに決まっている。


 悪役や主人公に屈したら、その瞬間からそれは悪役ではなくて『主人公に負けた存在』という、過去の存在に成り下がるだけである。


 なので俺は『このようなややこしい原因を作ってしまったそもそもの原因は俺の日ごろの態度も含まれている』という、突かれたら困るような事には一切触れずにプレヴォをネチネチと言い返せる間も与えずに追い詰めていく。


 前世の俺であれば『確かに俺にも悪い所、直さなければならない所もあるのも確かなので、ここはお互い水に流しましょう』などとバカな事を言ってしまった事だろう。


 一度死んでしまったから言える事なのだが、だから前世の俺は周囲の奴らから良いように使われてしまい、面倒事を押し付けられ、そして最後は見捨てられたのだと言い切れる。


 俺本人は『皆の為に』だとか何だとかいう思考で動いていたのだが、周囲からは『言えば断らない都合のいい奴』程度にしか思われていなかったのだろう。


結局『良い事をすればその行為に見合った見返りをしてくれる』などという考えは即ゴミ箱にすてている。


 これは『貸した金はあげたものと思え』という考えと同じで、善意で見返りを求める、それこそ『皆が困っている時は助けたのだから自分が困っている時は助けてくれるだろう』などという考えは、浅はかな考えだったなと思う。


「だ、だが講師を辞めさせるほどの事ではないだろうっ!! 明らかにやりすぎだっ!!」

「あ? だったらそれこそ俺ではなくて学園側に言えば良いだろう? 俺はただ親に今回の話を伝えるだけだ。それによって寄付金が入って来なくなり被害を被った学園がどう動くかなど俺には関係ないし、この講師が自らしでかした行いでどうなろうと知った事ではないし、俺がコイツをどうこうする権利もねぇよ。あくまでも決めるのは学園側だからな。俺は学園が出した答えがどうであろうとそれを尊重するだけだ。ただ俺が言える事は自分のケツは自分で拭け。自分のケツを拭けもしないのであれば初めからするべきではなかった。それだけだな」


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近況ノート(限定)にて68話(ストック分)まで更新いたしました。

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