第52話 因果応報



 必死に隠れてもこうして見つかってしまい、今俺様の心臓部分には刀が突き刺さっている。


 もし今回刀ではなく蹴られてしまったら、下手したらそれでもう即死級のダメージを三度喰らってしまい死んでしまっていたかもしれないのだ。


 しかしそれでも、ただほんの少しだけ寿命が延びただけかもしれないと思うと、いっそのこと一思いに殺してくれればこんな思いをしなくても良いのに、とも思ってしまう。


 まだ昼間であれば分かるのだが、夜にも関わらず俺がどこに隠れているのかどうやって分かるのだろうか……本当に人間なのか疑いたくもなる。


「まったく、スキルもゴミしか持っていないんだな、お前。とりあえずもう一度奪ってみるか」

「あぐぅっ!!」


 ロベルトが持つ武器は、どうやら切った相手のスキルを奪う能力を持っているようで、俺の太ももに刀に突きさすと、俺の持っているスキルがまた奪われていくのが分かる。


 しかも一回の攻撃でスキルを二個も奪っているなど、普通に考えてそんなふざけた武器などこの世界にあって良いわけがないではないか。


 それほどまでにぶっ壊れている武器であれば間違いなく国宝級であり、値段も付けられない程の代物である事は間違いないだろう。

 

 そもそも『攻撃が当たると相手のスキルを二つ奪う事ができる』という武器があると言われたところでまず『嘘だ』と思い、安価で売っていたとしても買わないだろう。


 そんな武器を何故ロベルトが所持しているのか意味が分からない。


 それこそクヴィスト家に代々受け継がれてきたと言われた方がまだ信用できる。


「流石にそろそろ飽きたし、この鬼ごっこは終わりにしようか」

「た、頼むっ!! どうか命だけは……っ!!」

「あ? 今までお前によって何人の人生がめちゃくちゃにしたり殺してきたと思っているんだ? まさか自分だけはそんな事をされないとでも思っているのであれば甘すぎると言わざるを得ない。因果応報という言葉がまさにお似合いだな。というか顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら懇願してくるくらい死にたくないと、生きたいと思っているんだったら何でお前は今まで他人の人生を、命を自分の欲求を満たす為に使い捨てて来たんだよ。そんな事をしていればいずれ遅かれ早かれ誰かしらに殺されてしまう事くらい少し考えたら想像できるだろうが……あぁ、そこまで考える事ができずに目の前の事しか想像できないのであれば仕方がないか。まぁ、どの道命乞いは帝国側に言うんだな。まぁ、どうせ何を言ったところで無理だろうがね。流石にお前はやり過ぎたな」

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