第51話 あと一つ
「貴様ぁっ!! 調子にあぎゃぁっ!?」
目の前のガキはさらに俺に向かって悪党だの、既に爵位は剥奪されているだの、罪人だの、平民よりも下だのとふざけた事を言うので、怒りで頭が真っ白になり、その怒りの感情のまま俺様が今行使できる最大威力の魔術を、この魔術を行使してしまったら俺様の魔力保有量の七割も使ってしまう等のデメリットも考えずに行使しようとした瞬間、俺は胸に強い衝撃を受け、木を三本割り倒し四本目の木でようやく勢いが落ちてきたのか割れる事はなかったものの、それでもその威力は相当なものでありかなりの衝撃を背中に受けながら地面に落ちる。
「お前さぁ、爵位剥奪され犯罪者として指名手配された罪人であり、平民以下の存在がクヴィスト家の嫡男であり次期当主である俺に向かってそんな口を聞いて良いとでも思っているのか?」
「き、貴様はあのクヴィスト家の面汚しのロベルトなのがぎゅぅっ!?」
「もう一度説明しないと平民以下に成り下がったお前の口の聞き方が分からないのか? あ?」
「……ぐぎぎぎぎぎ…………っ」
「だせぇな……やっぱり。そしてだせぇ悪役は、終わり方もだせぇな、やっぱ。 とりあえずお前の首には賞金が懸けられているんだわ。金貨千枚はクヴィスト家の資産に加えようと思うから殺すわけにはいかないが、それでは遊び足りない訳よ。んで、お前は【死に直結する自分に与えられるダメージを二度無効化する】というアイテムを後何個所持しているか、賭けようと思うんだがどうだ? 面白そうだろう? 賭けるのは勿論お前の命と金貨千枚な。その間お前はどんな方法でも逃げて構わない。俺はお前を殺す為に追いかける。俺が飽きるまで逃げきれたらお前の勝利だ。生きたまま捕まえて帝国に差し出してやろう。そうでなければ身体は荷物になるから生首だけ帝国に差し出してやるよ」
そう言って始まった理不尽過ぎるゲームなのだが、分かった事がある。
ロベルトは化け物であるという事だ。
いったい誰がこのロベルトの事を『クヴィスト家の面汚し』と言い始めたのは。
これは間違いなく神童、いやそれ以上の存在であるのは間違いないだろう。
「嫌だっ!! 死にたくないっ!! 嫌だっ!! 死にたくないっ!!」
俺が持っている二度死を回避できるアイテムはあと一つしか無い。
他十二個は全て効果を使い切ってしまい粉々に砕け散ってしまった。
あと直死の攻撃を三回喰らったら俺は死ぬ……。
「みぃつけたっ!!」
「あぐっ……ひぃっ!!」
そしてこいつは何処に逃げようが、どこに隠れようが直ぐに見つけてくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます