第46話 躾がなっていない家畜以下
「……かしこまりました。しかしながら時間はかかりますので、纏まった時間をいただければと……」
「フン、分かれば良いのだっ。分かればっ! 良いか? 一秒でも早くしろよ? 少しでも遅れているような事があれば分かっているな?」
「……かしこまりました」
俺の所にやって来たメイド長は、始め俺の命令を聞かず、父上がどうのとか言ってくるので、この家の長は誰であるのか答えるように言ってようやっと俺の命令通りに動き始めた。
まったく、これだから歳を食った奴らは頭の回転が遅くて嫌になる。
ただでさえ知能の高い俺様の考えや思想について来られていないのだから、せめてバカはバカなりに何も考えずに知能の高い俺が言った言葉に対して二つ返事で受け入れて動けばいいものを……。
その考えに至るまでにこちらが教えてやらなければならない程に頭の回転力が衰えているというのであれば解雇も考えなければならねぇな。
とりあえず一旦はここから離れた所にある別荘で身を潜めて、今回の件が落ち着いてから戻ってくれば良いだろう。
潜んでいる間に打開策も考えておけばまさに一石二鳥という訳だし、そこからクヴィスト家の糞野郎に一矢報いる方法も考える事ができるのである。
まさにメリットしかない完璧な作戦ではなかろうか。
逃げると思うから駄目なのであり、これはあくまでも戦略的撤退なのだ。
そして俺はその日の深夜に馬車で揺られながら別荘と向かう。
そこまでは良かったのだが、いざ別荘がある場所まで行くと、何もないではないか。
元々避暑地として使われていた場所なので暑い時に来れば涼しいのだが、そうでないときに来れば普通に寒い上に、周囲には文字通り何もないのである。
「ちっ、飲み屋街の一つでもあれば良いものを……これじゃぁ女を買いたくても買えないじゃねぇか」
この別荘に来たのは子供の頃両親に連れられて来た時以来であり、何もない場所だと分かってからは一度も来ていなかったのだが、あれから十年以上経っているというのに、父上は一体何をしていたというのか。
とりあえず当主としてやるべきはこの別荘周辺に歓楽街を作る事からだな。
しかし、この俺様が折角訪れたというのに周辺に住んでいる者たちは挨拶一つしに来ようとしないとは……躾がなっていない家畜以下ではないか。
このさい面倒くさいから俺様自身が各家々に訪問してやっても良いだろう。
その時に酒と女も徴収していけば良いではないか。
流石俺様である。
こういう何もない場所であっても最低限過ごせるだけの環境に変える事ができる知能があるというのは、はやり優秀だと言わざるを得ないだろう。
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