第45話 ちくしょうっ!



「フフフ、お父様も悪ですなぁ……っ」

「そう言う息子、お前もなぁ……っ」

「フフフ…………」

「フフ…………っ」

「「フハハハハハハハッ!!」」


 うむ、お父様も良い悪役ムーブをかましてくれるではないか。


 そして気分が上がった俺はお父様と一緒に笑い合うのであった。



◆とある貴族side


 

「畜生……っ! 冒険者ギルドの奴らがこの俺様を裏切りやがったっ!!」


 俺はとある一通の手紙から冒険者ギルドの裏切り行為に気付き、その怒りのまま近くにあった花瓶を払い飛ばし、花瓶が割れる音が部屋の中で響き渡る。


 その音と、俺が怒っているという事にびっくりしたのか、折角今まで集めてきた商品が怖がってしまっているではないか……。


 それもこれも全て冒険者ギルドと、この俺様にこんなふざけた手紙を送りつけてきたあのクヴィスト家の糞野郎のせいである。


 この俺様をここまで不快にさせた落とし前をどうやってツケてもらおうか……。


 しかし、現状は俺様が裏で女性を拉致させ購入していた事が相手にバレている状況である以上不利なのは俺様の方である。


 恐らく俺様の元まで手紙を送りつけてきたという事は、俺が何かしら行動しようものならばすぐに上へ報告できるようにしている筈であるから、ここで怒りの感情のまま動くことはそのまま違法奴隷取引で捕まって、良くて鉱山送りか悪くて処刑であり、俺が今まで拉致させて購入してきた人数がどれだけバレているのかによるわけで……。


 今までの判例からして一人から二人程度であれば鉱山送り、それ以上からは処刑の確率が上がっていくとみて間違いないだろう。


「ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!ちくしょうっ!!」


 なによりもこの俺様にこんな思いをさせている相手があのクヴィスト家の糞野郎だという事実がさらに俺様を苛立たせ、頭を掻きむしりながら罵る言葉を呟き続けるのだが、だからといってこの現状が好転する訳も無く、そしてその事実にまた俺は頭を掻きむしりクヴィスト家の糞野郎を罵り始める。


「ぐぎぎぎぎ……オイっ!!」

「はい、何でしょうか? 旦那様」

「今すぐこの家の金銭と金目のもの馬車に詰め込めっ!!」

「……はぁ。それはよろしいのですが一日は最低でもかかるかと……。それに急にそんな事をしたら大旦那様がなんと言うか……」

「あ? てめぇ誰に指図しているんだっ!! 今この家の当主は誰だっ!? 俺の親か? あ? 言ってみろよっ!!」

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