第44話 悪役としての幅も広がる



 今回拾ってきた彼女達の事をお父様に紹介し、これから彼女たちを俺の使用人として使う旨を説明し、彼女達にはこれからの事を軽く説明して離れの別邸へ一時的に住んでもらうよう案内する。


 勿論、別邸はあくまでも来客用の施設である為彼女たちを泊めさせ続ける事はできないので、屋敷の近くにある空き家を買い取りそこに住まわせるつもりである。


 理想を言えば宿屋を経営していた中古物件などがあればベストであろう。


 そんな話はさておき、彼女達についての活用方法についてはとりあえずこの家のメイド兼俺の側仕えとして働いてもらうとして、このまま育て上げるのも良いだろう。


 その為の契約書へのサインなので、闇のメイド部隊を作ったりしちゃったり、夢が広がると共に悪役としての幅も広がるというものである。


 そんなこんなで彼女達には一旦今日は別邸で休んでもらう事にして別れ、現在お父様と相対している訳なのだが、彼女たちをお父様に説明する時にどうやって拾ってきたのかもその経緯を軽く説明した訳だが、その時にお父様には『今回の件で上手い話を用意しており、むしろこちらの方が本命である』という旨を話していたのである。


「それは一体どのような話なのかね?」

「はい。今回彼女達を連れて来て俺専用の使用人として雇う事になった経緯は説明したとは思うのですが、その彼女達を拾ってきた理由である違法奴隷販売……その顧客リストを手に入れてます」


 俺はそう言うと、いかにも悪役と思えるような笑みを浮かべながらお父様へ顧客リストを渡す。


「……ほう、流石俺の息子だ。お主もなかなか貴族らしくなってきたではないか」

「いえいえ、お父様にはまだまだかないませんよ。それに彼女達を拾ってきたのは良いのですが、彼女たちの生活費やメイドとしてのスキルを上げる為の面倒を見る為にこの家のメイド長に負担を強いる事になるのでその分当然その増えた仕事に見合った給料を支払ったりと、出て行くお金が増える訳ですから、その資金の足しに成ればと。後は餅は餅屋という言葉がとある国にあるのですが、やはり貴族間の事に関しては貴族として長年当主を務めて来たお父様に任せた方が間違いないでしょう」

「資金の足しどころか、むしろ貰い過ぎだと思えるくらいには稼げるであろうし、価値のあるリストである事は間違いないだろう。このリストのお陰で、長年目の上のたん瘤であった者達も一層できる訳だしな。あぁ、アイツ等は爵位剥奪される時はどんな顔をするのか、今から楽しみで仕方ないな……っ!」

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