第40話 年貢の納め時



 しかし、ある意味ここまで大きく稼げるような形にしているにも関わらず帝国側やギルド側が今まで本格的に動いていなかった事をみるに、間違いなく中で繋がっている者がいるのだろう。


 それも、ただの下っ端ではなくかなり上の者が繋がっているとみて間違いないだろう。


「邪魔するぜ」

「いらっしゃいませっ! 開いている席にどうぞっ!」


 そんな事を思いながら俺はとある飲食店に入ると、何も知らないであろう若い女性従業員が元気よく出迎え、席に案内されるのだが、席には座らずにそのまま関係者しか立ち入れない旨の記載が書かれた扉をけ破って中に入ろうとする。


「ちょっとっ! お客様困りますっ!! あぁ、お客様ぁっ!!」

「すまん、客じゃねぇんだわ」


 途中女性従業員が勝手に中へ入ろうとしているのを止めようとするのだが、それを押しのけて中へと入って行く


「誰だ? お前。今自分がやった事が何なのか分かっているんだろうな? こんな事をしてただで済むと思うなよ?」

「ほう、なら話が早い。お前たちがやってきた事が何なのか理解できていればただで済む話じゃない事も理解ができていると判断して良いんだな?」


 すると中にはこの飲食店のオーナーらしき人物が部屋にある椅子に座り、書類を机の上に並べて事務作業をしていたようなのだが、急に扉をけ破って入って来た俺達を見るなり怒りの表情で話しかけてくるので、俺はそのまま同じ内容の言葉を言い返してやる。


「一体何の事を言っているのか理解できかねるな。そんな事よりも今はお前たちの件だろう?」

「理解できないなら俺達が何で来たのかという理由と一緒に教えてやるよ」

「ちょっ!! おわっ!?」


 そう言うと俺はストレージから漆黒の刀を取り出すと床を細切れにしてオーナーと一緒に地下へと落下する。


「この部屋が、俺達が来た理由だ。そして俺達は正式に冒険者ギルドの仕事としてここへ来ている。どんな仕事で来ているのか分からないとは言わないよなぁ?」


 すると、俺たちが落下した地下の部屋には鎖に繋がれた複数人の女性たちがそこにいた。


「ぐ……っ」

「よくもまぁ、この人数を拉致して無理矢理奴隷に堕として売りさばいていて今まで何事も無く運営できていたと思うが、流石に年貢の納め時ってやつだな。いくら何でもお前たちは調子に乗ってやり過ぎだな」

「お、俺達の裏には──」

「あぁ、もうそういう無駄な脅しは良いから。裏にいる奴らは先にしっかり殺し、アジトも燃やして来たからさぁ……。そもそもここの存在を知っている時点でお前たちの裏に誰かいるのかくらい調べていて当然であり、後で潰すか先に潰すかの違いはあれど、どの道そいつらも潰す事前提で動いているに決まっているだろう? そして俺は逃げられて違う土地で同じような事をされると二度手間だと判断したから先に裏にいる奴らを潰してから来たって訳だよ」

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