第31話 人の言葉を喋るゴリラ



「マリエルが待っているし、騒ぎになる前に早く済ませるか」

「お前、俺の仲間に何をしやが……ぎゃぁぁああっ!?」

「調子に乗りやがってっ!! 俺達に喧嘩を売った事を後悔させて──」

「うるさいし、いちいち長い」

「──へ? は? 腕がぁぁぁああっ!?」

「お、お前っ!? 俺の仲間に何をしやがったっ!?」

「あ? なにってこれから宣言通り冒険者業ができなくなるように腕か足を切り落としてやってんだよ。お前たちが望んだことだろう? 感謝してほしいくらいだよ」

「ぎゃぁぁああああっ!!!! 俺の足がぁぁああっ!!!!」


 コイツで俺に喧嘩を売ってきた全員の腕か足を切り落としたのでこの件に関しては一件落着で良いだろうと判断した俺は、口の端がひきつっている受付嬢がいるカウンターへと向かおうとしたところで何者かによって肩を叩かれる。


「……誰だお前」

「ここのギルドマスターだ。これをやったのはお前か?」

「あ? そうだが、それがどうした?」


 俺の肩を叩いたものは身の丈二メートルは優に超えるような男性で、スーツを着ているのだが、その上からでも筋肉質な身体を持っている事が分かるくらいには鍛えている事が窺える男性であり、自分の事をギルドマスターだと名乗るではないか。


 しかし、だからと言って俺にはコイツがギルドマスターだろうが何だろうが関係ない為そのまま無視して受取カウンターへ向かおうとするも、俺の肩に置かれた手に力を入れられ、止められる。


 というか、コイツの握力どれだけあるんだよ。


 肩の肉が持って行かれそうなほどの力で掴まれているんだが……ゴリラかよ、いや……人の言葉を喋るゴリラだな。


「待ちたまえ。君にはこれから色々と聞かなければならない事があるので、個室へと移動する為このまま私に付いて来てもらう」

「……断ったらどうする?」

「君の冒険者登録を抹消させてもらう」

「……ちっ」


 正直な話しもうこれ以上面倒事には首を突っ込みたくないというか、早く当初の目的をスムーズに遂行したいと思っていた為、できる事ならば無視か武力行使できるのであれば潰してやろうかとも思っていたのだが、流石に冒険者登録の抹消されるのは後々困るので俺は渋々このゴリラの言う通りに従い、個室へと向かう。


「急に呼び止めてしまって申し訳ない。再度自己紹介をさせてもらおう。俺はここのギルドマスターをしているガーランド・オーガスだ。一応元冒険者であり当時のランクはS。そして一代限りではあるものの騎士の爵位も持っている貴族でもある」


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