第29話 それはそれで腹が立つ
始めて冒険者ギルドの中へと入ってみたのだが、建物の中は荒くれものといった雰囲気の者や、前世で言うプロスポーツ選手のような雰囲気の者で多くを占め、そして喋る声も大きくうるさいというのが第一印象であった。
どれ程うるさいかというと近くにいるマリエルに話しかけようとするならばそこそこ声を張らないと聞こえないくらいの騒音具合である。
そして次に土や汗、体臭が混じった独特の匂いがするくらいであろうか。
それらに関しては予め予想はしていたのでそこまで驚きはしない。
むしろゲームの世界で見た冒険者ギルドに今実際に俺がいるのだという事に興奮して、それらなど気にならない。むしろ現実感が増してさらに興奮してくる。
しかし、いつまでも浸っていては先に進まないので当初の目的を達成する為に俺は比較的開いている受付嬢の列へと依頼を受ける為に並ぶ。
因みに冒険者登録自体はギルドの者を家まで呼び寄せて数年前に済ましている。
そんなこんなで待つ事数十分。
やっと俺の番になろうかというところでガラの悪い連中が列を割り込み俺とマリエルを押しのけると受付をしようとするではないか。
「おい、そこのゴミ共」
「あ? 何だお前? 俺達に何か文句でもあるのか?」
流石にこのままこいつらを割り込ませる気などさらさら無い俺はすぐさま声をかけるのだが、ごろつき連中のリーダーであろう者が俺にガンを飛ばしながら凄んでくるではないか。
その
「俺が列に並んでいた事に気付かなかったのか? そうであれば今すぐにそこからどけ。そうすれば許してやろう。しかし、俺が並んでいる事を知った上で列を割り込んだというのならば『列を割り込んだりしてはいけない』という子供でも分かる一般常識すら分からないバカとして判断してブチ潰すし、歯向かって来るというのであれば一生冒険者業ができない身体にしてやるが……どうする?」
「おいおい、聞いたかよっ!? お前達っ!! コイツ、俺達に勝てると思っているみたいだぜっ!!」
しかし、その上で謝罪をしてちゃんと列に並ぶのならば許してやろうと思い提案したのだが、その俺の優しさはごろつき共にバカにされ『ぎゃはははははははっ!!』と笑われる始末。
まぁ、煽る為に提案してみたので予定通りと言えばそうなのだが、俺の優しを無下にされた事には変わりないのでそれはそれで腹が立つというものである。
「おい、坊主。お前の方こそ今俺達に舐めた態度を取った事を謝罪すればそこの女を俺達にくれるだけで許してやろう。謝罪しないのであれば女は貰うしお前をボコボコにしてゴミ溜めに投げ捨ててやるが……どうする?」
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