第28話 知らんけど



 そして俺はバカ共を吹き飛ばした方へと歩き近づくと、骨折かただの打撲かは分からないのだが、痛みで呻いているバカ共に話しかける。


「おい、お前達。プレヴォはまだ学園内であったから謝罪する事で俺も一応は矛を収めたのだが、学園外でここまでバカにされて何の報復も無いというのはあり得ないという事くらい分かるだろう? 追って俺の親からお前たちの家に大切な内容の書かれた手紙を送ってやるからその内容を少ない脳みそでしっかりと理解して、要望通りの内容を行うように。もしその内容に異議などしようものならお前たちの家を全力で潰しにかかるから、俺のお父様が下した内容に文句があるのならばそのつもりで意義を申し立てて来い」


 そう一方的に告げるとただでさえ痛みで脂汗をかきながら顔を真っ青にして呻いていた奴らの顔色が、公爵家の息子に対して喧嘩を売るという自分達のしでかした事による代償のデカさを今さらながら知って青から緑、そして土色に変わっていき、痛いだの何だのという呻き声は無くなる。


「私、自分の頭がいいと思っているバカが嫌いなんですよね。そういうバカは簡単に自分の実力を見せびらかす大きな態度を取るものです。その結果他の、足を引っ張ろうとしてくる者達に対策をされてしまうかもしれない等とは考える知能が無いのでしょうね、バカだから。そして本当に頭がいい者はロベルト様のように本当に必要な時にだけ実力の片鱗だけ見せるもの。当然私の理想の男性はあなた方のような前者ではなく、ロベルト様のような後者のような男性です。では」


 これで終わりかと思いきや最後にマリエルがトドメを刺してしまうではないか。

 

 どうやら俺の言葉と突き付けられた現実よりもマリエルに言われた事の方が精神的なダメージが大きかったらしく、バカ共の顔色は茶色から白へと変わり、心ここにあらずと言った感じになってしまう。


 おそらくこの反応を見るにバカが自分の事をしっかりと『自分はバカなんだ』と理解できたのだろう。


 であれば、マリエルのトドメの言葉はある意味でこいつらの目を覚まさせる良いきっかけになるかもしれないので、良い事をしたという解釈もできよう。


 知らんけど。


「では、当初の目的である冒険者ギルドへと向かうぞ、マリエル」

「はい、ロベルト様」


 茫然自失になっているバカ共にはもう用がないので、俺はバカ共をこのまま捨て置いて冒険者ギルドへと向かう事にする。


 そして冒険者ギルドへと到着するとそのまま中に入る。


 因みに冒険者ギルドとは言っても外見はしっかりしており九百年代の日本銀行のような外観をしていた。

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