第27話 デェェェェンッ!



 その吹き飛ばされたバカを見て他の馬鹿どもが、吹き飛ばされた方向に視線を向けたまま固まっているではないか。


「何だ? まるで何が起きたのか脳が処理できずに固まってしまっているように見えるのだが、まさかこの俺が無詠唱で人を吹き飛ばせる程の威力がある炎魔術を行使できるとは思っていなかったのか? しかし、俺は優しいからな。今この場で土下座して謝罪するのであれば許してやらん事も無いぞ?」

「……こ、こんな事おかしいだろうっ!? なんで学園の成績がド底辺のお前があんな威力の魔術を、しかも無詠唱で行使できるんだよっ!?」

「はっ、どうせ何かからくりがあるのだろう? 本当はあの一発しか行使できないからこそ、今そんなに偉そうな態度で僕たちに突っかかってきているのだろうが? 残念ながら僕たちはお前が思う程バカでもないんだよなぁっ!」

「なるほど、そういう事かっ!! よくも私たちを騙した、ブボハァッ!?」


 俺はこんなバカ共に対して最後のチャンスを与えてやるのだが、馬鹿共はバカだからこそバカである為、自分達の都合の悪いことや、自分が見下していたロベルトよりも下の存在であるという認めたくない事実を受け入れる事ができず『ロベルトが何らかの方法で一発だけ高威力の魔術を行使でき、その一発を脅しに使ってこの場を切り抜けようとしている』という自分達にとって都合のいい解釈をして俺に突っかかってくるではないか。


 流石にこれ以上このバカ共とじゃれ合うつもりも無ければ、普通に鬱陶しいので全員ぶっ飛ばしていく事に決め、とりあえず一人まだ喋っている途中ではあったものの先程のバカを吹き飛ばした時に行使したのと同じ炎魔術で吹き飛ばす。


 そのせいで舌を嚙みちぎってしまったのならば自業自得だろう。というかそれくらいのリスクがある事を承知で突っかかってきているとこちらは判断しているし、そもそも先程俺が行使した魔術で人一人吹き飛ばしているので『まさか本当にロベルトが人を吹き飛ばせる程の威力を持つ魔術を行使できるとは思っていなかった』という言い訳は通用しない。


「くそっ!! まだあの魔術を行使できたのかっ!! 卑怯だガボホウッ!?」

「ま、まさか本当に……っ!? あ、謝るから俺を吹き飛ばすのだけは止めてくれっ!! ほらっ!! この通り土下座もするからっ!!」

「は? 最後のチャンスを蹴ったのはお前だろうが。自分が選んだ事くらい責任を持てよ」

「や、止めデェェェェンッ!!」


 うむ、叫び声も才能の無さが窺えてくるようだな。


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