第25話 思わず頭を抱えたくなる

「…………誰ですか? 貴方達」


 そんな馬鹿共に向かってマリエルは『覚えていない』と一蹴してしまう。


 そして、思い出そうともしないその態度も込でかなりショックだったようで茫然自失になってしまっているではないか。


 恐らく当人達はマリエルをクズ公爵令息から助け出した正義のヒーローのつもりだったのだろう。


 そしてこいつ達にとっての悪役である俺はクズなのは去ることながら魔術も武術も底辺レベルであるというのは有名であり、そんな底辺ゴミクズ相手であれば自分達でも簡単に倒して愛しのマリエルに惚れられ、そのままゴールイン、などと思っているのが丸わかりな分可哀想とは思う訳もなく、むしろざまー見ろと思ってしまう。


「お、覚えていない……だと……っ!?」

「女の癖に…………男である俺を馬鹿にしやがって……っ!!」

「家が没落した癖に、そこから助け出そうとしてやっている僕に向かって…………っ」

「今は平民の癖に、貴族である私がわざわざ嫁に娶ってやると言っているにも関わらず、その言い草とは…………っ」

「俺たちのおかげでロベルトの奴隷から解放してあげたというのに、その恩を仇で返しやがって…………っ」


 などなど、マリエルの態度にコイツらの本性が表に出始めるではないか。


 以前までの俺も人の事は言えないのだが、相手の気持ちを考慮する事もせずに勝手に婚約をしようと迫り、助けて欲しいとマリエルが言った訳でもないのに奴隷から勝手に解放しようとしたり、そんな自分本位であり相手の立場になって考えることが出来ないような奴らの集まりであったのだろう。


 だからこそ求めてもいないにも関わらず勝手に自分でやった事に対して恩を売ったと言い、思っていた反応と違うだけでその恩を仇で返されたと顔を真っ赤にしておこるのだろう。


 こういう馬鹿共しか貴族の男子は居ないのか? と思わず頭を抱えたくなる。


「勝手に貴方達が、私がロベルト様の奴隷になる事が嫌で仕方ないと勘違いしていただけで、そもそも私はそれを求めてもいないにも関わらず恩だのなんだのと図々しいにも程があります。更に私があなた方の想像していた理想の反応とは違った反応をしただけで、誹謗中傷で私を攻め始める始末。控えめに言って貴方達はゴミクズ以下ですし、そんなゴミクズ以下の貴方達よりもロベルト様の方が何百倍も良いに決まっています。というか比べること自体ロベルト様に失礼ですよ、ホントに。なんならロベルト様に迷惑をかけた謝罪すらないのだから呆れてしまいますね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る