第24話 それが出来ないからバカなのだろう
「あ? お前誰だよ? 見ない顔だが、この俺様に喧嘩を売ってタダで済むと思っているのか? もし喧嘩売っていると言うのならば買った上でボコボコにするのだが、そうでないのならばさっさと俺の前から消え失せろ」
いきなり怪しい奴らに絡まれたのだが、とりあえずコイツらの目的を聞いてからボコることにする。
幸いチラホラと野次馬も集まり始めた事だし、万が一衛兵が駆けつけてきても正当防衛で済ましてくれるだろう。
それに、服装とか見る限りいい所の坊ちゃんっぽいので、恐らく没落寸前で俺を誘拐かなんかして身代金なりなんなりせしめるとかなのだろう。
まぁその程度の事であれば、今改めて引き返すのであれば気の迷いということで俺も目を瞑ってやるつもりではあったものの、相手のニヤニヤとした下卑た表情を見る限り相手は引くつもりなど毛頭無いのだろう。
「ぎゃはははははっ!! おいっ!! 聞いたかよっ!? コイツ魔術も武術もゴミカスの癖に俺たちに勝つつもりでいるぞっ!!」
「ホントに頭まで馬鹿なんだなコイツ!! 両親が可哀想だぜっ!!」
「本当に。そしてそんな奴の奴隷にされたマリエルさんが不憫でなりませんね」
「全くだ。ロベルトよ、悪いことは言わぬ。ここで俺達と争ったところでお前がボコボコにされる未来は変わらぬ。そして俺達はクズなお前と違って優しいからな。こちらの要望さえ聞き入れてくれるのならば悪いことにはせぬと誓おう」
「なに、簡単な事さっ!! マリエルを手放して自由の身にすればいい事だっ!!」
目の前の馬鹿共は、どうやら当初予想していた金銭目的ではなくマリエルに惚れている馬鹿共のようであった。
恋すればバカになるとはよく聞くが、ここまで周りが見えなくなるほどバカになるものかね? と思ってしまう。
しかしながら、その程度の事であればこちらとしてもコイツらをボコるよりかは面倒事になる事もなさそうなので、要望を聞き入れることにする。
「あぁ、そんな事でいいのか。なら初めからそう言えば良いではないか」
そして俺はそう言うとマリエルの奴隷契約を解除する。
「マリエルッ!! 俺だっ!! 覚えているだろうっ!? 三月前に婚約を申し込んだ者だっ!!」
「俺は半年前に!!」
「僕は一年前に!!」
「私は一ヶ月前に!!」
すると男共は頭に被った紙袋を取ると各々いつ婚約を申し込んだのか言い始めるではないか。
やはりというかなんというか、ここで婚約を申し込んだ日を言うあたり相当なバカなのだろう。
そんな事を言うくらいならば気の利いた言葉一つでも言えばいいというのに……それが出来ないからバカなのだろう。
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