第23話 そう簡単に老けてたまるものか
同僚は『よくぞ聞いてくれた』とばかりに両手を広げて興奮気味に早口でそう捲し立てる。
「いや、まぁ……うん。それが本当だったら凄いな」
「何だい、その煮え切らないような返事はっ!? 十種類もの違う属性を使っているのだよっ!? それも、今分かっている属性は炎、水、風、土、氷、光、闇の七種類とされているにも関わらずだっ!! であるのに何故君は興奮すらしていないっ!? まさか不感症なのかっ!? 私の前だからまだ良いが、男との営みまでそれだと嫌われるぞっ!?」
「大きなお世話だっ!! それに不感症でもないっ!!」
まったく、言うに事を欠いて不感症などと言いやがって。私は夜のトビウオと(いずれ)呼ばれている(だろう)女なんだぞ。
「では何故こんな状況を見て興奮しないのかね? それこそ不感症の何ものではないではないか」
「どうせ生徒が行使した魔術の残留がいい感じに混じって新しい魔術に見えてしまっているだけだろう。そもそもこの世界でまだ見つかっていない魔術を行使した生徒など私のクラスではまだ一度も見ていないし、十種類どころか三種類を扱えるプレヴォが一人いるくらいだ。そのプレヴォですらいきなり行使できる属性の数を十種類まで増やすなどあり得ない話だ。普通に考えれば一人の者が十種類も行使したと考えるよりかは、様々な魔術の残留が混ざったと考えた方がまだあり得る話だ」
「まったく、君という者は夢というものは無いのかね? そんな老いた者のような考え方をしていると見た目も直ぐに老けてしまうぞ?」
「余計なお世話だ。それに私は毎晩肌のケアは欠かさず行っている。結婚するまでそう簡単に老けてたまるものか。そんな現実味の無い話をしていないでいいから手を動かせ」
そんな会話をしながら私は明日の授業用の的へと変えていくのであった。
◆主人公side
さて、とりあえずチュートリアルで一回だけ使用できる美味すぎるダンジョンをこの世界は周回できるという訳で周回しまくった今、俺がやるべきことは主人公がストーリー上助ける村を俺が代わりに助けるという事だろうか。
主人公のストーリー上のイベントを俺が奪う事によって俺が死ぬという未来を回避できるのではないか?
正直な話、現時点で主人公に襲われたとして負けるとは思わないのだが、万が一というのもある。
俺の命が掛かっているので、できる事は全てするべきだろう。
「おい、ロベルト。少し止まれや」
そんな事を考えながら、これからマリエルと冒険者ギルドへ向かう途中、顔を紙袋でかくして目の部分だけを開けた六名の集団に囲まれてしまうではないか。
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