第10話 主と奴隷
私には家族という繋がりは消えてしまったし、自分から捨てたいと思っていたのだが、いざ何も繋がりが無いんだと思うとそれはそれで寂しくはあった。
しかしこれで私はロベルト様と『主と奴隷』という繋がりができるわけである。
この繋がりがあればある程度の事であれば捨てられるという事も無いだろうし、何ならこれで私はロベルト様から命令されるかもしれないのである。
今までロベルト様は私に命令する事は何も無かった。
それが、奴隷ではないから嫌われるような事はできないし言えないというのであれば私を奴隷にしてしまえばそのタガが外れて私をぞんざいに扱ってくれるかもしれない。
それに、そう思っているからこそロベルト様は私を奴隷にすると口走ってしまった可能性もある。
命令されたりぞんざいに扱ってくれる事を求めている私は、恐らくもう心が壊れてしまっているのだろう。
しかし、それによって私は『無価値じゃない』と思えるし、思っていたい。
例え私の身体目当てであろうとも、問題ない。
むしろ大歓迎まである。
だというのにロベルト様は私の身体も求てくれないので、ここ最近は不安と心配と『どうせ私なんか』という自己嫌悪に陥る事が多くなっていた為、卑怯な手段を使ってでもロベルト様の奴隷になろうと、私は策を練る。
その結果晴れて私はロベルト様の奴隷になれたので早速今夜はロベルト様の布団に潜り込んで一緒に寝ようと思う。
その結果、子供には言えないような事が起きればなお良しである。
◆主人公side
「……何で?」
落ち着け俺。
朝目が覚めて身体を起こそうと手に力を入れると、ベッドとは違った柔らかさというか、手のひらにフィットした柔らかい膨らみが伝わってくるではないか。
それが何なのか分からず、確かめる為にも一度起き上がってみると、俺の隣には裸のマリエルと、そのマリエルの柔らかそうな胸の上に俺は手を置いているではないか。
とりあえず、確かめる為にも二度三度とマリエルの胸をふにふにと揉む。
うむ、実に柔らかい。
ではなくて何で俺の隣でマリエルが裸で寝ているのだろうか?
普通に考えればそういう行為をしたとしか思えないのだが、そんな行為をした記憶は一切無い。
もしその行為の部分だけ忘れているのだとしたら、俺はなんて勿体ないことをしてしまったのだろうか。
何故だろうか? 朝から涙が出そうになってくる。
「んっ、おはようございます。ロベルト様」
そんな事を思っているとマリエルが起きて、目を擦りながら俺に挨拶をしてくるではないか。
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