第6話 スフィアツリー

 ではどうやって能力を上げるのかと言うと、魔物を倒すと落とす『スフィア』を、スフィアツリーという画面で伸ばしたい能力の個所へそのスフィアを埋め込む事によって、埋め込んだ個所の能力を向上させる事ができるというシステムが使われているのだが、レベルが上がるごとに必要なスフィアの数が増えていき、そして一レベルに一つしかスフィアツリーを埋め込む事ができない、というのがこのゲームの能力を向上させる方法である。


 そして、この世界の俺は『一レベルに一つしかスフィアツリーにスフィアを埋め込む事ができない』という設定が無いのである。


 その為レベルが低い現在、少ないスフィアの個数で能力を向上させ放題という状況になっていた。


 当然そんな能力向上バーゲンセールを逃す訳もなく、俺は一気にレベルを上げまくり、スフィアをスフィアツリーへ埋め込んでいく。


 それと同時にダンジョンを周回しているので、本来であれば四個手に入れる事ができるスキルの中で低ドロップのスキルが三個以上出るまでリセマラするのだが、欲しいスキルを獲得できるまで周回すれば良いのである。


 この違いは大きく、リセマラの場合はデータを消す必要があるので一度手にしたスキルは消えてしまうのだが、この場合一度手にしたスキルは消えないのである。


 なのでとりあえずはこのダンジョンで入手できるスキルを全種類入手して、スフィアツリーも上げられるだけ上げまくる一日であった。


「お疲れ様でございます、ロベルト様」


 そして俺は日が暮れる前にスキルを全種類入手する事ができたのでキリが良いところで帰宅すると、俺専属の側仕えメイドであるマリエルが門の前で俺を迎えてくれる。


「まさかそこでずっと待っていたのか?」

「はい、そうですが? 本来であればロベルト様の側に仕えていなければならない身であるものの、そのロベルト様本人から『今日は側で仕える事を禁止にする』と仰ったので、それならばせめて門の前でロベルト様の帰りを待とうと思ったのです」

「……そうか。だがそれで体調を崩されては俺が困る。次からはこのような場合はわざわざ俺の帰りを待つ必要もないので一日マリエルの好きなように過ごすようにしろ」

「……はい、かしこまりました。では次からもこうして門の前でロベルト様の帰りを待たせていただきますね」

「……はぁ、まぁマリエルがそれで良いのならば俺からは何も言わないのだが体調だけは気を付けるようにしろ。熱中症や脱水症状をバカにしたら痛い目にあうぞ」

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