第7話:とっても幸せです。
麻美子ちゃん「嫁」のことですけど・・・。
新婚の時はマンションにふたりで暮らしてたんですよ、でもやっぱり夢の
マイホームが欲しいよねってなって、頑張って建てたんです。
ローンは僕がじじいになった頃、終わるんですけどね。
で、マイホームが出来上がった途端にどこかの宗教団体の勧誘なんでしょうね。
ひとりのご婦人が勧誘用の冊子を持って訪ねて来たんですって。
でね、そのご婦人に
「奥さん・・・今、お幸せですか?何か悩みごととか家庭内の問題とか
ありませんか?」
って聞かれたんですって。
人の不幸を探るところから入って来るのが、そのご婦人の手なんでしょうね。
だからね麻美子ちゃん。
「悩み事もなにもありません、家庭内も平和だし、旦那様も超優しいので
とっても幸せです」
って言い切ってやったんだって。
そしたら、そんなこと言う奥さんって珍しいですって。
たいがいは家庭の悩み事とか夫婦の悩み事を抱えてる人がほとんどで、幸せ
ですなんて言う人ほとんどいないです。
そんなにはっきり、幸せですって言ったのは奥さんだけですって言われたから
「ほんとに幸せしかありませんから、お帰りください」
って言ったら、ご婦人失礼いたしました〜って帰って行ったんですって。
で、仕事から帰って来たら、麻美子ちゃん僕に今日こんなことがあったんだよ
って、ご婦人とのやり取りを報向してくれたんです。
「まじで?・・・まじで麻美子ちゃん、そんなこと言ったの?」って言ったら
「一言もウソついてないからね」
って台所に消えて行きました。
それはよかった。
どこかの宗教の勧誘の話より、麻美子ちゃんの本音に偽りがないことに幸せを
感じた僕でした。
つづく。
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