第二話 落ち葉の治癒魔術師 尾千羽カナ
どうもーー!!こんにちはー!!!私は尾千羽カナといいます!元々は病院にいる日数が高校の登校日数より多いJKでしたが、うっかり死んでしまったらしくて、ここフライドチキン共和王国に召喚されましたー!!いぇーーい!!!
あ、もしかしてテンション高すぎましたか…?
ごめんなさい。
いやでもこれ仕方ないんですよ!!
だってあの異世界ですよ!異世界!!
凄いたまにお見舞いに来てくれる友達が貸してくれたラノベを読んで以来もうこういうのに凄い憧れてたんです私っ!!
だから気がついたら光る魔法陣の上にいて、王国の魔術師団の人に囲まれて、国王様と謁見?してるときもとにかくもう最高ー!!!!みたいな!
それで、なんか私より先に王国、あ、正確には共和王国なんですけど、に呼ばれた人が百人以上いて、そのうちの何人かがお亡くなりになってしまったらしくて、それ以来召喚された勇者一行の人は半年間訓練を受けることが義務付けられたらしいんです!
でもほら、私学校とかほとんど行ったことなかったので、訓練中の皆との共同生活とか凄い楽しくて、もう少女漫画に出てくる寮生活じゃん!!この世界!!みたいな!!!
ただ…、成績の方はですね…、一応一生懸命勉強するんですけど中々振るわなくてですね…、元々勉強とか苦手だっていうのもあるんですけど…、もう一人ワッキーっていう私よりバカな、今もジェシーと朝ご飯のデザートの黒ごまの目がついたフルーツポンチを取り合ってるバカがいるんですけど、彼とドベ争いを繰り広げてまして、まぁ生活はそんな感じです。
王国の人たちは私達に寄宿舎みたいなところの部屋を相部屋で使わしてくれてるんですけど、そのデザート取り合ってるジェシーとは同じ部屋で彼女は…、その…、デ…凄いふくよかっ!なので、よく夜中ベッドがミシミシして眠れません!
ちなみに今日は実地訓練といって、城の外まで行って皆でゴブリンを討伐するらしいんですけど、私以前授業で闘技場というところでモンスターと戦ったときスライムにボコボコにされたので、正直不安ですっ!!あの時は最悪でしたね、教官は鬼みたいなド畜生なので、私がスライムにまとわりつかれて薄い本みたいな事になってるのに普通に止めないんです、酷くないですかっ!?やらしい目で見てるとかでもなくなんか普通に手元の書類に評価値とかつけてるんですよっ!ギブっつってんのに!!助けろやぁァァァ!!!みたいな!!思いますよね!?普通思いますよね!?!?
「いやー、そしたら評価つけらんなくなんね?」
「てか、普通スライムにやられなくない?」
ワッキーとジェシーはなんか言ってますが、この二人も私とドベ争いを繰り広げる程の生粋の馬鹿です。行徳の
「いやいやいやいや、俺お前よりは全っ然実技マシだから?この前のテストはたまたまね?あんまりお前がドベ取りまくってて可哀想だから俺が仕方なく変わってやっただけね?」
「なにいってんだよ馬鹿、私はどうやったら斥候が自分で仕掛けた地雷自分で踏み抜いて3日間意識不明になんのか知りたいね」
「そ、そ、そうですよ!!大体私は教官から常に努力している姿が見受けられるってこの前の中間成績表に書いてもらいましたからーぁぁ!?」
「それはあれだな、要は全体的に才能がないってのをオブラートに言ったやつだな」
「なっ!?ジェシーこそ成績表なんて書かれてたんですかっ!?」
「私は実技訓練での耐久力と攻撃力には目覚ましいものがある、よく精進するようにだったかな?(キラーン)」
「すっげえオブラートにデブって言われてんじゃん…」
「だれがデブだこらチビハゲ頭、あぁんこらぁー???」
「なんだやんのか妖怪オーク姫さんよぉ!?」
「やれやれ、この二人に付き合ってるとバカが移りそうなので私はさっさと実地訓練の用意をしに部屋に戻るとします。」
「「一番バカなのお前だからっ!!!」」
そうして皆で教官に引きつられて[フィールド:草原]にくると、繁殖期のゴブリンの群れが潜む林の近く辺りに隊列を乱さずに向かいました。
頭の中では何度も覚えた呪文を反芻して、フォーメーションの確認を繰り返してました。
暫く歩いてると、チームリーダーで隊列の一番前を歩いてる泰晴さんが片手を上げて目標の数や位置を正確に把握して後ろの皆に伝えます。教官は手元の書類になにか書き込んでいます、きっとこれも実施訓練の採点に関わるのだと思います。
「では、各自戦闘準備。これは演習の扱いだが俺は指揮等一切手出しせん。死なないよう全力でゴブリンの殲滅に当たれ!」
「「「「「「「「「「「はっ!!!」」」」」」」」」」」
ゴブリン達が通るであろう少し開けた場所を囲むように皆で木の茂みなんかに隠れます。ワッキーは
私は杖を握る手に一層力を込めて、ゴブリンの群れを待ちます。
群れの半分ほどがその開けた場所まで来たところで切り込み隊長のジェシーとウーメル君がそれぞれ先制攻撃を仕掛けました。爆風が弾けて、多分今の一撃で敵の先遣隊のほとんどが壊滅したように思います。ウチの出番ないんじゃねコレ?
とかなんとか思いつつも本丸が突撃してくる可能性を考えてさらにその奥を見る私、二人共大槌に長槍と武器が派手で、攻撃魔法の
なんて言ってると私だけまた成績ビリになりかねないのでまずは予め予測していたゴブリンの回避位置に杖を向け後援の準備をします。勿論支援魔法なんかはもうとっくにかけてますよ!!当たり前じゃないですかっ!!
「おいっ!!!カナ!!!
へっ!?えぇぇぇぇぇぇぇ!?あれ?!?おかしいな!?私ちゃんと詠唱できてたよね!?!?よね!?!?あああああああああああやばいやばい、絶対今ので教官が私の減点を入れた!!!最悪っ!!!
先の一撃の威力に不満げなジェシーがなんか言ってます。
おい、笑ってんじゃねぇよワッキー!!どこにいるか知んねぇけどお前の笑い声聞こえてっからな!!!お前もそれで減点されちまぇええええ!!!
とにかく私は魔法弾を先程構えてた位置にぶっ放します!!おおおおぉぉりゃぁぁぁぁぁあ!!、
と、放った魔法弾は先の先制攻撃で慌てて私の予測地点にやってきたゴブリンの「手前」で大爆発しました。あれ?
「痛っでえぇぇぇぁぇえええ!!!!!」
と、
「
「何すんだはこっちのセリフですよ!!!なんでそんなところにいるんですか!!!邪魔ですよ!!どいてくださいよ!!!お陰でせっかく狙い定めた魔法弾無駄打ちじゃないですかっ!!!!ゴブリン逃げちゃいますよっ!!!!!」
「馬鹿野郎、俺もそいつ狙ってたんだよ!!!」
なんて私達がバカな事やってる間に泰晴さんとウーメルさんが次から次へとゴブリンを刈っていきます。あぁ、これで私だけまたレベルが上がらない…うぅ…。
「ちょっ!二人共油断しない!!!」
私に襲いかかろうとしていたゴブリンをイケメンに倒してくれたのは
「おい、まずいぞ、他にスライムとコボルトが何体かいる!!」
低いイケボで哨戒を告げたのは僧職のネリオラさん!やっべぇー、まじ声かっけぇ、耳が幸せだわー。
とか言ってる場合じゃないっ!!!えっ!?コボルト!?聞いてないんですけど!?!?
「任せろ、もう捉えてる。」
「
「おい!!誰ができる陰キャだ!!!聞こえてんぞっ!!」
あっ、しまった、間違って口に出しながら私も
さて、眼の前の戦闘に集中しないと…、っと意識を再び研ぎ澄ませた時ケント君が撃ったスライムの飛沫が私の顔に張り付ガボガボガボっっ!!、!!
「ガボガボガボっ!!(ちょ!またこれかよっ!!!!!助けっ!!死ぬっ!!!!マジ死ぬっ!!!!)」
「ったく、何やってんだよ…、風魔法ウィンドブレイカー!!!」
そのスライムをウチを傷つける事なく吹き飛ばして、さらに襲いかかってきていたゴブリン二人を瞬殺してくれたのは我らがリーダー泰晴さん!!やっべー、いつもより3割増でイケメンだわ、うん。
「おい、大丈夫かよ?演習で習ったろ、移動中に魔力を溜めて隙見せんなってよ!」
やばい、めっちゃ怒られてる…。マジ反省だわ…、すんません。
「う、うん、ごめん…」
「ごめんじゃなくてこういうときはありがとだろ?」
ヤバいイケメンが過ぎる、怒ってても冷静にイケメンとか神かよ。私なんてただのラーメンつけ麺です、はい。何いってんだ私、本当すいません、反省してます。
「そ、そうだよね…!!ありがと!!」
泰晴さんはそっぽを向いてさっさとどっかへ行ってしまった、やばいなこれは、あれだ、私カンペキに足手まといと思われてるわこれは。
仕方がない、私もそろそろ本気を出させてもらうとしましょう!!!
ーそっから一切良いところのなかったカナがすごすごと夕飯の席についた場面ー
意気消沈の私はそれでも天王寺さんとウーメル君の作るちょーうまそーな匂いに惹かれて腹を鳴らしまくって食卓の席についていました。
ジ「おい、カナ
カ「ひぃぃぃ、ごめんなさぁぁい…!!!私ちゃんと詠唱できたと思ったんですけど…八つ橋あげませんよ、返してください」
ワ「おまけに味方に魔法弾ぶっ放すとはなんのつもりじゃい貴様!!!じゃあ俺が八つ橋貰う」
カ「ワッキーがあまりにチビで知能指数がゴブリンと一緒だから間違えちゃったんですよ!!!だから八つ橋はあげないですよ」
ワ「だっ、誰がチビでちのーしすーゴブリン並みのホブゴブリンだてめぇ!!!ふざけんなよ!!!俺の八つ橋を取るなジェシー」
カ「何勝手にホブゴブリンに進化させてちょっと上位種になろうとしてるんですかっ!!?!!?ワッキーなんてスライム以下の雑魚ですよ!ジェシーその八つ橋半分こしましょう」
ジ「そのスライムに危うく殺されそうになってたのは手前じゃねぇかカナ!チゲ鍋のつみれと交換だ」
カ「あれはケントが私の方にスライムの飛沫を飛ばすからいけないんですよ!!!!取引成立ですね」
ワ「いや、おれの八つ橋で取引してんじゃねぇよお前ら」
ケ「わかったわかった、俺の八つ橋やるから手打ってことで、今日のあれはマジすまん」
カ「珍しく私よりド陰キャの滅多に会話に交わらないケント君が会話に参入してきました。山彦でしょうか?」
ケ「いや、心の声ダダ漏れだからねっ!?!?後別に陰キャじゃないからね俺!?!?」
ジ「大体ド陰キャは皆そう言うよな」
ワ「だな」
カ「ですね」
ケ「いや、酷くないかお前らっ!?ぶっちゃけ今日一番戦闘で活躍してたの俺じゃん!?後衛の狙撃で討伐数3位だぜ!?!?」
カ「それまで思い思いに喋っていた一同はド陰キャのイキリ発言とも取れる痛々しい自慢にシーンとなった。」
ケ「だから心の回想口に出してんじゃねぇよっ!?!??後なんで皆一斉にシーンてなってるの!?合わせたの!?フラッシュモブなの!?」
ワ「泰晴とユーメルに敵わない3位ってのがまた悲壮だな。」
ジ「だな。」
カ「ですね。」
ケ「うるせぇよてめぇら!!くそ!お前らなんて大嫌いだっ!!!」
泰「おい、泣くなよケント、俺の白菜やるからさ」
ウ「そうだぞケント、元気出せ、凄いじゃないか3位なんて、ほら白菜」
ケ「白菜ばっかいらんわっ!!てめぇらいつも1位2位独占しやがって…!」
泰晴な「1位なんて上のリーグのドベとしてスタートラインきっただけに過ぎないのさ、はい白菜」
ウ「お前もそのうち万年2位の辛さもわかるさ、ほらもっかい白菜」
ケ「だからっ!!白菜ばっかいらねぇよ!!せめて白滝とかにしろよ!!それにしても!
しーん…。
ケ「もういい、嫌いだお前らも白菜も。」
泰晴さんにも、ユーメルさんにもイジられ倒して幸せ者のケント君は白菜のおばけになりましたとさ。
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