13.

抱きかかえ、少しした後、落ち着いてきたのか、今のように体中を小刻みに震わせながらも静かになった。

この姿となってしまったら、人語を話せないらしい、ずっと黙ったままだ。

いや、こちらが話さず、行く宛てもなくただ歩いているからか。

だからといって、話しかけたいとは思わない。


通勤通学の時間帯になってきたようだ。それらしい人が歩いてきては、こちらに目を向けてくる。

この視線、かなり苦手だ。

俯きがちに、さっきいた公園のベンチに座る。


「…………そんな姿をしていることは、俺のことが嫌いなんだろ。どっかに行けばいいだろ」


気まずい空気に耐えかねて、怒りが収まらない口調で、乱暴に持ち上げようとしたが、小さな獣の両手と口で必死に離さまいとしている姿に、大きなため息を吐いた。


勝手にしてろ。


心の中でそう悪態を吐くと、不貞寝をした。




『なんで、にーちゃんがおねつのときは、ぼくいちゃ、だめだの?』

『……うつし、ちゃう……から、だよ……』

『ぼくがおねつだしたとき、にーちゃんずっといてくれたじゃんっ!』

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