12.
仕方なしに帰ってくると、奴が言っていたように、敷いてあった祥也の布団の上に、ジルヴァは丸まって寝ていた。
祥也と一緒に寝ている時は、布団に潜り込んでいる。
上がり、一歩踏み出した、床の軋む音で目が覚めたらしい、大きな耳がぴくりと動き、起き上がった。
「……まさ、し……さま……? ん〜……」
眠たい目を擦りながら、辺りを見回していたジルヴァが祥也の姿を認めると、「しょーやさまっ!」とこちらに駆け寄ってきた。
「おはやいおかえりですね! まさしさまは、ぶかつのあされんにいきました! あと、ごはんをつくってくれましたので、いっしょにたべましょ! ──っ!」
こちらに一生懸命見上げ、小さな両手を祥也の手を掴んできたのを、振りほどいた。
瞬間、怯えた表情のジルヴァと目が合う。
またしてしまった。けれども、止まらない。
「……何度言わせれば分かる。あんな奴の飯なんか食うつもりはないと。それに、お前は奴と楽しくしていればいいじゃないか。俺なんか必要ないんだろう」
「そ、そんなことは……」
「そんなことだから言っているんだろっ! 失せろっ!」
カッと頭に血が上り、部屋中に響くくらいの怒声を浴びかせ、ジルヴァが総毛立たせた時、みるみるうちに獣の姿へと変化させた。
ということは、つまり。
が、そのことを気にしている場合じゃない。まるで悲しそうに鳴き続け、このままだと隣人迷惑になると、ジルヴァを抱え、再び外に行くこととなった。
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