9.
奴の宣言通り、その日から勝手に住み始めた。
目に映るだけで吐き気が催す相手と、いつまで一つ屋根の下で共に暮らさねばならないのだろうと、考えるだけで頭痛がしてくる。
それに奴はただいるだけではなく、祥也がジルヴァに与えた食事に対して相当気に入らなかったらしく、祥也がやる前にもうすでに、しかも、ジルヴァがひと目で釘付けになるほどの料理を数々を作ってきた。
そのせいでその日以来、あんなにも大好きであったコンビニのおにぎりに見向きもせず、奴の料理に夢中になってしまった。
腹が煮え返ってくる。
何やら楽しそうに会話をしながら食事をする二人を、とっくに興味を失せ、持っていたおにぎりを握りつぶしそうな勢いで力を加えた。
「兄貴、そんなにも食いたいならやるって。今日はな、特に良く出来た───」
「──食事に興味がない。特にお前が作ったものなんか特に興味がない」
そう吐き捨てると、行く気が失せていたバイトに行こうと立ち上がり、おにぎりをゴミ箱に投げ捨てると、荷物を持って出て行った。
背後からは何の声もしなかった。
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