6.


やっぱり、自分なんかに幸せは持続しない。


仕方なしに風呂に入れてやった奴のことを睨めつけながらそう思った。


「なんだよー兄貴ぃ、そんなにも見つめて·····えっち♡」

「ふざけるな黙れさっさと出ていけ」

「そんな言い方ないだろー。ぴえーん、おれのことを慰めてくれよ、わんちゃんー!」


髪を乾かしてあげていたジルヴァに抱きついてきたのを、「·····ジルヴァです」と小さく言い返していた。


「寄るな」

「ぐえっ」

「·····しょーやさま、このかたは、ごきょうだいなのですか·····?」

「ちが──」

「そうだよ! おれは玖須匡くすまさし! 五歳年下の高一! よろしくな!」


ぐいっと押しやったのを押し返され、ジルヴァににこやかな顔を向ける匡を見つめていたジルヴァが、「·····にてますね」と呟いた。


「わらったかおが、そっくりです」

「えー? そう?」

「·····そんなわけないだろう」


心外だと言わんばかりにそう言い捨てると、ご飯を作るために台所へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る