2.


いつもと変わらない日々が始まる。


──少し、訂正しよう。あの大雨の日から、祥也の生活は一変した。


バイト帰りに拾った黒く汚れた犬だと思ったそれは、眩い輝きの銀色の毛並みを持つ狼の子どもであった。

自分と同じく傷つけられたことで勝手に同情し、さらに、「優しくしてくれた人の前では人の姿となり、世話をする」と言う子狼のジルヴァに世話をし、されたりと、来ると思わなかった穏やかで楽しい日を送っていた。


祥也がバイトをしている最中は、コンビニのオーナーの住まいに預けてもらっている。

先に休憩に行ったオーナーの世話──と、本人は思っている──をしているのだろう。微笑ましい。

そう思いながら、祥也はレジ打ちをこなしていった。


接客した客と入れ違いに来た客が見え、反射的に「いらっしゃいませ」と声を掛けた。

来たのは、数人程度の陽キャらしい男子高校生。

よく来るような客であるが、常に下を向いて生きてきた祥也にとっては、対照的でかなり苦手なタイプであった。

騒ぎながら物を物色している。店内のBGMが遮られる不快さ。密かに苛立ちが募る。

案内するが前に、喋りながらレジ台に乱雑に置かれた商品を、淡々と打っていく。

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