弟の心、兄知らず

兎森うさ子

1.


屋根を叩きつける大雨が降っている。


嫌いだ。普段から不快に思える音が熱のせいでより一層思える。

まるで、暗闇の世界に一人放り込まれたようだ。

じわり、と視界が滲む。


苦しい。


だが、それを和らげてくれる相手は、自分にはいない。


苦しい。


はぁ、はぁ、と短い息を吐き、段々と意識が無くなっていく中。


扉が開くような音が聞こえた。

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