第四章 七伯爵、壊滅へのカウントダウン
第26話 白衣の女教師、軽音部に降臨す
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
一学期も終わりに差しかかる頃。
軽音部の部室には、個別練習前の部員たちが集まっていた。先日のオーディションがきっかけで加入した新顔もちらほらと
その立役者である『
ベース・
キーボード・
以上。
他校生の
「
「しゃーねーだろ。期末テスト対策で忙しいんだからよ」
(ケガの功名だが、ぴあ
あとは、どうにかしてぴあ
(今先輩の勉強を邪魔するわけにはいかねぇ……となると、勝負は夏休みか)
場所は? シチュエーションは? 今から考えることは山積みだ。
思案の間、
(ちくしょう、ガン飛ばしやがって……お前に
(はぁ!? コイツ、
二人で不可解なにらめっこを続けていると、部室の扉が開けられた。
「こんならぁ、何をいなげな顔しよんなら」
入ってきたのは、オーディションでも世話になったネル部長だ。
「あら、部長さん。ごきげんよう」
「…………」
「……?」
ぴあ
「ワシなぁ、
「……すまん。
「ええ。連絡先を交換しましてよ。今後の参考にと、ライブにも誘ってくださいましたの」
それは
「プロのライブはしっかり観ときんさいや。映像でもええけ。
「え? オレッスか?」
突然の名指しに
「ほうじゃ。ステージとスタジオを同じに思うたらいけんで。場所いっぱい
ライブ経験豊富な
「なるほどな。今のままだとオレはバンドの穴ってことになるな」
「め、
ぴあ
「おう、見てやがれ。再来週の部内ライブで鼻を明かしてやるからよ!」
「そ、それでこそ
ぴあ
ただ、やる気があらぬ方向に飛び火するのだけは勘弁してほしかった。
「ところで、部長さんはバンドに加入してくださいませんの?」
(おい、バカ! お前と
案の定、ネルも参加には消極的だった。
「こないだも
言い訳の混じった返答に、気まずさが
しかし、ぴあ
「一曲なら構わないということですわね」何故そうなる。「わたくし、部長さんと五人で演奏したときの一体感が忘れられませんの」
後半に関しては
「……一曲だけじゃったら考えとくわ」
妥協点は案外すんなりと定まった。
「まー、それは今どーでもええけぇ――軽音部の皆さーん。今日は大事な報告がありますー」
「顧問の先生、明日から新しく替わりんさりますー」
*
元々、軽音部の顧問は吹奏楽部との兼任だった。吹奏楽部が大会に本腰を入れるに当たって専念したいと申し出があり、軽音部には代わりの顧問が迎えられた。
白衣姿で部室を訪れたのは
「部活の顧問って一度やってみたかったの。先生も音楽大好きだし、嬉しいわ」
栗色のショートボブが似合う、物腰柔らかな「
「先生、この曲知ってる?」
「あらあら。とっても上手に弾けてるわね」
「せんせー、保健室空けてて平気ですかー?」
「大丈夫よ。保健委員の子たちに任せてるから」
「
「うふふ……ひみつ」
部室の雰囲気はぐっと良くなり、活動のモチベーションも明らかに上がっている。
強いて言うなら、男子たちがキメ顔で先生に演奏をアピールしているのが若干ウザいぐらいか。
(おめでてー奴らだぜ。でも、人目を意識したプレイってのはオレにも必要かもな)
そうこうしているうちに、別バンドの練習時間になった。メンバーが休みだというので、ヘルプに入るぴあ
「ベース弾いてるの、格好いいね」
不意に声をかけられた。顔を向けるまでもなく、視界の隅に白衣の裾がはためいている。
「
「あなたのことが気になっちゃって」
魔性の女かよ――
「
「知ってる。2年G組でしょ?」
顧問なら把握していて当然かもしれない。だが、この時の
「先生ね、あなたのことよーく知ってるんだ。何故だか分かる?」
「…………まさか」
「はい、時間切れ。続きはまた今度、ね」
思わせぶりな笑みを残して、
(……流石に考えすぎか)
もし悪魔に動きがあれば、自分よりも先にマキナが
# ♪ ♭
★
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093089480167375
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