第22話 激闘後、キズとまつ毛と
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
裏山のふもとを青白い閃光がほとばしる。
「び……びっくりしたぁ……」
冗談じゃない。驚きたいのは、とっておきを無効化された
「はぁああ!? 人間が素手でビーム受け流してんじゃねーよ! お前、どっかおかしいだろ!?」
「そもそも生身の人間がビームを撃つな! キサマこそどうかしてるぞ!」
正論で返された業腹も手伝い、
拳を振り上げ、猪突猛進。
「んなこと言ったって出せるもんはしょうがねーだろ! 対処できてる時点でテメェも大概だろーが!」
「キサマのデタラメな技と一緒にするな! アタシのはれっきとした
対する
両者密着。
「今だ――!」
「ぐほぉ……っ!」
ここに来て、
「テメェ、まさか……ビビってんのかぁ?」
「駆け引きには乗らんッ!」
「ヘッ、どうだか」
たとえ無意識にせよ、警戒心を刷り込むことに成功したようだ。
(こうなりゃとことん殴り合いだぁっ!!)
本領発揮の接近戦。
「フゥ……アタシをここまで手こずらせた奴は初めてだ。とどめを刺す前に名前を聞いておこうか」
「
一進一退の攻防は激化の一途をたどった。好敵手の出現に心ならず
ダメージと疲労で限界寸前を迎えた
(正真正銘、コイツが最後の一撃だ――!)
噴き上がる虹色の光焰。猛り立つ闘気を拳に込めて、余すことなく打ちつける絶技の名は――
「〈テンション・リゾルヴ〉!!」
辺りは七色の
(……決まった……か……?)
一瞬、意識を失っていたようだ。
ボロボロのセーラー服を着た女が、自分を見下ろしていた。
「……まいったな。あれでも効かせらんねーのかよ」
「いや……全部は流し切れなかっ……た」
遅れて、
「ハハッ、くすぐってー……ん? そのケガ――」
マスクの外れた
「心配するな。このキズは元々だ」
何年も前、同級生を守ろうと争って付けられた古傷だ、と。言われてみれば、縫われた跡がある。
「名誉の負傷ってわけか。お前、カッケーな」
「フン……お世辞など要らん」
寝転がった
「いや、カッケーって。それによく見るとお前、結構美人顔だしな」
「……!! キサマ……女タラシとか言われないか?」
「はぁ? 別に口説こうとして言ったんじゃねーよ」
「だ、だろうな。それにアタシのお嬢への想いは揺るがん」
「さっきも言いかけてたけど、お嬢って誰だ?」
「……名前は知らない。会ったことがあるのは本当だ。本当に……運良く一目会えればと思っただけで……」
「お前、まさかストーカ――」
「人聞きの悪いことを言うな! キサマこそお嬢を
誰かも分からない相手を
「おい、どこ行く?」
「待ち合わせ場所だ。キサマのおかげで充分時間は潰せたからな」
キサマはゆっくり寝ていろ――とでも言いたげに、
(
*
裏山での戦いから十日後。オーディション会場にその女は現れた。
(
ポニーテールに黒マスク、セーラー服姿のスケバンを発見した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます