第14話 ヒーローは遅れてやって来る
【前回のあらすじ】
レもん「
# ♪ ♭
「じょ……冗談だろ……?」
茫然自失の
「だからアンタが代わりに戦うってのか? レもんさんよォ」
「それがアイツとの約束だからな」
半身に構えたレもんの耳に、渡り廊下をとてとてと走る足音が飛び込んでくる。
体育館への来訪者は、息を切らした黒髪の少女――親友の
「こ、
「三年生かァ」
体育館に
「ちょっと待ったぁ!!」
入口に現れた声の主は、誰あろう
「レもんさんよォ、どういうことか説明してもらおうかァ?」
「いや~、特訓にかこつけて始末してやろうと思ったんだが、どうやら仕留め損ねたみたいだな~」
あっさりと畳を降りるレもんに、
「テメェ……いけしゃあしゃあと……」
「おっと、お前の相手はオレだ」
その言葉に嘘はなさそうだ。
「
「
言葉尻を濁しつつ、
当然ながら、
「あの、どちら様でしょうか……?」
「カ゠ラテ教会の
平然と言い放つマキナは、ポロシャツにスラックスという装いだ。
「カラ……ああ、空手協会の
「そうです! ワタシはボランティアで審判をするのが趣味なので、ここは任せてもらいます!」
「なるほど、どうぞどうぞ」
無茶苦茶な言い草だが、目まぐるしい状況も手伝って、
マキナがしゃがんで畳に触れた瞬間、空気の流れが変わったのを、レもんは感知する。周囲の安全のため結界を張ったのだ。
「ここからはルール無用一本勝負だ。存分に暴れたまえ! ワタシが許可する!」
(負けるなよ、
レもんの祈りを
「どうしたァ? まさか敵が毎回様子見してくれるなんて思っちゃいねえよなァ……?」
「クッ……上等だ!」
機先を制された
(そうだ。それでいい)
それは特訓の際、レもんが
防御においてもまた
「やるようになったじゃねえか、
「上から目線もここまでだぜッ!」
観戦中の
「
「
戦いは白熱していた。激しい打ち合いで両者とも道着がほつれ、破れるほどに。
それでも――いや、だからこそ
「さぁ……もっと来いよ!」
「それは俺様のセリフだぜェ……!」
それから間もなく、転機は訪れた。
「動き回って疲れただろ。そろそろ休ませてやるよ」
「へー。そりゃありがてーな」
「それじゃあ望みどおり永久に休むんだなァ――ッ!!」
重心を低く取った
(マズい……
レもんの願いとは裏腹に、
「休むのはテメェだ――
真正面からの突撃だった。
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