第10話 魔王軍のお仕事だとさ
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
双掌の直撃を喰らった
今度は体勢を整える余裕すらなかった。かろうじて防御を差し込んだ両腕が痛みに
おかしい。痛いのは両腕だけなのか。
(……マキナか。助けてくれたのは)
「もしかして、さっきの虹色のやつもお前が?」
「虹色? 何のことだい?」
マキナの口元から薄ら笑いが消える。とぼけているわけではないらしい。
とりあえず、考えるのは後回しだ。
「横から手助けかよ。
鉄仮面は追い討ちを諦めたのか、
「テメェからケンカ吹っかけておいて勝手にやめんじゃねー!」
「そうカッカすんなよ。今日のところはお開きってだけだ」
余裕たっぷりに
「俺様の名はファイ゠トノファ」
「クッ……
「次を楽しみにしてるぜ。人間ってのは成長が早いらしいからな……カッカッカ!」
悪魔ファイ゠トノファ――こいつとは再び相まみえる時が必ず来る。
*
放課後の屋上。ドアはマキナが改造済みなので、
(んががが……! クソッ、何度やっても出ねぇ!)
闇雲に
何としてもあの虹色の
「ぬぉおおお……ッ! 出ろぉおおお……ッ!」
ドアの向こうから、金髪黒ギャルがムスッとした顔を
「おい。ウ◯コならトイレに行ってしろ」
「ウ◯コじゃねーよ! つか、子分がオレに指図すんじゃねー!」
「あーしは
「んだと? 負けておきながら偉そうに」
「そっちは二人がかりだったろ! あんなの無効だ!」
レもんの訴えがタイムリーに突き刺さる。
「チッ……お前までそんなこと言いやがんのかよ……」
「『まで』? あーしを呼びつけたのはその辺りの事情か」
察しが良くて助かる。
「ファイ゠トノファか……」
「弱点とかあったら教えてくれよ。他の悪魔の情報でもいいぜ」
「見くびるなよ。あーしは仲間を売ったりしない」
きっぱりと返される。そんな気はしていた。
「お前が信用できる奴でよかったよ。で、悪魔たちが進めてる計画ってのは何だ?」
「話聞いてたか? 誰がそんなあからさまな利敵行為を働くもんか」
レもんは
この反応もまた想定内。
「そっか。ま、聞くまでもねーか。どうせ大した計画じゃねーだろうし」
「何だとぉ……!? 愚かな人間
悪魔の気位の高さを利用しろ――マキナのアドバイスは効き目充分だった。
して、悪魔の深遠なる計画とは「人間たちのネガティブな感情を
「へー。何かフツーだな」
「フツーとか言うな! 有史以来、悪魔は人間の善性を
急激にスケールがショボくなった気がするが、この際ツッコまないでおこうと
「それは何というか……涙ぐましいな」
「そうだろう。近頃はそんな努力が効を奏して、人間たちは勝手に争いを繰り返すようになった。もはや我々悪魔が手を下さずともだ」
レもんは得意満面に腕組みして
「マジかよ。お前もう仕事しなくていいじゃん。よかったな」
「よくなぁ~い! あーしら七伯爵なんて、魔王軍の中じゃ下請けの下請けもいいとこなんだぞ!? 何かこう、一応は仕事してます感みたいの出しておかないと、いつ切り捨てられてもおかしくないんだからな!」
想像以上に世知辛い告白だったが、同情と同時に
「なるほど。魔王軍ってのがお前んトコの本部なんだな」
「そうだ。いずれ魔王陛下が統治されるこの世界の地ならしとして、あーしらは日々活動を……おっと、
それっきりレもんは口を
「魔王陛下ってのはどういう……」
「これ以上は答えられんぞ! 分かったら
こうも安易に決めつけられては、
「バカにすんなよ! こう見えて毎回クラスで五位以内は固いんだからな!」
「フフン。あーしは学年で三位だぞ。無論、
ますます腹が立つが、これ以上成績でレもんと張り合うのは不毛だろう。
「あっそ。お前が三位ってことは、上に
「え?
「何だよ。先輩は勉強なんてしなくても楽勝な天才美少女だろうが」
何の疑いもなく口にした
「いや、
「?」
「とてもあーしの口からは、言えな――」
レもんの言葉を
「
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