第3話 先輩のクラスに転校生だって?
【前回のあらすじ】
# ♪ ♭
「Kenji cried out without hesitation, "Sis Mio is my sunshine!".――では、この部分を誰かに訳してもらおうかな」
英語教師が教室を見渡す
(こんなときに……マキナか?)
『緊急連絡だ。至急返事をくれ』
メッセージを確認するなり、教師からの注意が飛ぶ。
「
「いえ、今のはオレの
「なっ!? へ……」
「あと、ウ◯コ漏れそうなんで便所行って来ます!」
教師が面食らっている間に、
「な、何て
「流石は
(マジのやつだと思われてんな……ヒーローはつらいぜ……!)
クラスメイトから不本意な称賛を浴びながら、
個室に入るや、
(授業抜けてきたぞ。何があった?)
『体育館で倒したドナツィエルという悪魔は憶えているね? 奴の仲間が報復に動き出したと、使い魔から報告があった。充分注意してくれたまえ』
マキナからの警告は予想の範囲内だった。
(オレが狙われるのは構わねぇけどよ、間違えて他の奴が襲われたりしねぇだろうな?)
『可能性はゼロとは言えない。悪魔を素手で殴り殺せる女子高生がキミの他にいればの話だがね』
そう言われると反論しづらい。気分は複雑だ。
(人を化け物みたいに言うなよ……っつーかお前、オレが強いっての見抜いてスカウトしたんだよな? そのメガネって悪魔の擬態以外も見分けられんのか? 例えば、戦闘力みたいなのとか)
『……まぁ、そんなところさ』
(ふーん。で、もし敵が襲ってきたら返り討ちにしてやればいいんだな?)
『そうとも。小瓶のスペアは持っているね? ワタシの到着が間に合いそうにない場合は、それで悪魔の霊質を回収してくれたまえ』
(分かった。善処する)
『連中の計画を阻止するためだ。健闘を祈るよ』
やり取りはそこまでだった。
マキナにしろ悪魔にしろ謎は多いが、乗りかかった船だ。今さら後へ引くつもりもない。
(悪魔の計画ねぇ……ま、ボコすついでに聞き出しゃいっか)
*
(ふっふっふ……まずは計画の第一歩といったところかな)
七伯爵の一角・レモノーレは金髪黒ギャル女子高生に
元はといえば、
伯爵級の悪魔を倒せる人間がいたのには驚いたが、幸いにも現場がこの学校の体育館だったことは判明している。
(あーしはあの単細胞とは違う。悪魔だと悟られることなく、スマートに脅威を取り除いてみせる。そのためには――)
「どうしたの? 頭痛いの?」
隣の席の女子が顔を寄せてくる。人間どもの感覚でいうと、黒髪ロング清楚系アイドル風美少女といったところだろう。
名前は
「ううん。授業の内容思い返してただけ」
「えー! レもんちゃん、あれが理解できるんだ! すごーい!」
バカにしているのか?――と思ったが、態度に出すのはまずい。今のレモノーレは転校生「
(この娘がドナツィエルを消し去ったとは
初めてこの教室に入った時から感じていた。
できることなら、先に正体を突き止め、化けの皮を
「
「ありがとう! でもやめとくー。勉強大っっっ嫌いだし!」
何を言っているんだ、この
「で、でも、公式とか憶えとかないと。中間テストもうすぐだよ?」
「多分何とかなるよー。今までだってそうしてきたもん」
こいつ、張り倒されたいのか?――と思ったが、以下同文。
「おっけー。
「分かったー。私にこんな優しくしてくれるの、レもんちゃんと
輝くばかりの笑顔はまるで天使――
「大袈裟だし。ところでその
「うん。一緒にお昼とか食べてる……」
「あー、軽音部の後輩の子ね」
もしかすると、部活中なら
(……もう少し慎重に様子を見るか)
「そうだ、そろそろ部活行かないと。またね、レもんちゃん」
「ん。じゃあね、
ターゲットに別れを告げると、レモノーレは素早くジャージに着替え、活動を開始した。
(さて、あーしも自分の仕事に取りかかるとしよう。まずは黒板を綺麗にして、次に学級日誌を書いて、花瓶のお水も取り替えて……っと)
授業に加えて日直、委員会活動など、やるべき仕事は山積みである。これも生徒たちの中に上手く溶け込むのに必要なことだ。
(それから、学級花壇のお世話もしなければならんな。まったく……人間どもめ、受験だ何だと理由をつけてサボりおって……)
ジョウロとスコップを両手に、レモノーレは放課後を忙しく過ごす。一見遠回りだが、これこそが深遠なる計画実現の近道なのだ。
(そういえば深遠なる計画って何だっけ? ……まあいい。見ていろ、人間ども! 手始めに花壇を綺麗なお花でいっぱいにしてくれるわ! アーッハッハッハ!!)
*
水曜日は部活が休みなので、
週に一度、二人でのランチタイムだ。
今日は屋上で食べよう、と言い出したのはどちらからだったか。
「ダメぇー。開かないよー」
扉の前で立ち往生する
「やっぱ鍵かかってんスかね――……あ、開きましたよ」
「今バキッて音しなかった?」
「き、気のせいッス。どうぞ先輩、先行ってください」
ひしゃげたドアノブを背中に隠しつつ、
(正真正銘二人っきり……メシ食い終わったら、今日こそは先輩に想いを告白してやるぜ……!)
# ♪ ♭
★レもん イメージ画像
https://kakuyomu.jp/users/mano_uwowo/news/16818093082180502331
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます