扇風機が世に出て間もない頃のお年寄りも
「和室に扇風機は合わん！扇子と団扇があればいい！」と思っていたことでしょう。

エアコンも風向をオートで動かせるものがほとんどですよ…とツッコみそうになりましたが、
扇風機にこだわる主人公の頭の中から、エアコンの機能についての細かい記憶がすっぽ抜けてるのかもしれませんね。


「反復作業」について。
DV被害者は暴力を振るってくるような相手に依存してしまいがちだそうですし、
郵便配達員さんは金銭的な問題で今の仕事を続けざるをえないのかもしれませんし、
反復作業をやめたくてもやめられない人だっているんじゃないかと思いましたけど、
本当は主人公にも、
反復作業から抜け出せない自分に折り合いをつけるため、他人や社会を引き合いに出し、
みんな反復作業が好きなんだ、自分もみんなと同じように反復作業が好きなだけだ、と思い込みたい心があるような気がしました。


お話のギミックとしては、読み進めるにつれ主人公の言い分が疑わしくなり、
クライマックスで視点の天地を覆されるどんでん返しがあるところが面白かったです。