億越えとの会話①
屍河狗威は屋上を選んだ。
誰も居ない場所ならば此処が適任だった。
携帯電話を耳に当て、誰かに電話を掛けていた。
「はい…はい、屍河狗威は屋上を選択したみたいです」
不死梟乂幡の行動に、屍河狗威は注意した。
「おい、何を電話してやがる」
そう言うと、不死梟乂幡は携帯電話に手を添えて声が入らない様にする。
そして、屍河狗威を見て、彼は電話の内容を簡単に説明する。
「少しお待ちください、今…百足楽様が、あと二十分程で到着しますので」
と言った。
いきなり、今回の黒幕が顔を出すらしい。
屍河狗威は、舌打ちをして二人を睨んだ。
まさか、時間稼ぎでもするつもりなのかと思った。
「何がだよ…そんな時間掛ける暇ねぇぞ」
話がしたいから屋上を選んだのだ。
だが、話をする気が無いのならば、此方も話す事は無い。
対応は会話から戦闘に切り替える寸前だった。
無邪気な笑みを浮かべながら、
「んふふ~、慌てちゃだめダメ、暇なら、ロネが遊んだげる」
そう言うと、繋檜佐楼音が紐で結んだリボンを外し、第一ボタンを外していく。
「ロネけっこう上手だよ?ここで遊ぼうよ~」
彼女の淫靡な声色。
スカートの端を掴んでゆっくりとたくし上げる。
「む」
屍河狗威は思わず反応した。
仮染貂豹は彼の頭を叩く。
「む、じゃねぇんだよバカ大将ッ」
後頭部を叩かれ、屍河狗威は叩かれた箇所を手で抑えた。
我に返った屍河狗威は、何時にも無く真剣な表情をした。
「あ、あぁ、悪い…つい魔が差して」
これで大丈夫。
色気等には惑わされないと真顔になるが。
スカートをたくし上げた繋檜佐楼音が、下着を見せつけた。
「今日のロネのパンツはぁ~、じゃーん、真っ黒クロのすけぇ~」
ガーターベルトを装着している。
黒色の下着は薄地であり、うっすらと彼女の肌色が見えている。
可愛らしい顔に似合わず、大人びた下着を着込む彼女に、思わず屍河狗威は反応した。
「む」
再度、屍河狗威の後頭部を握り拳で殴る仮染貂豹。
「だから、むじゃねぇんだよ、俺を見てろッ」
これ以上は目に毒である。
屍河狗威が目移りしないように、仮染貂豹は色欲防止として己を見ろと言った。
「…それって俺以外を見るなって告白?」
後頭部を擦りながら、屍河狗威はそう聞いた。
まるで、仮染貂豹が少女漫画に出て来る俺様系男子による我儘の様な台詞に反応していた。
「じゃねえよッ!ボケがッ!!」
当然、そんなつもりで言ったワケでは無いので、仮染貂豹は苛立ち、再度彼の後頭部を拳で殴りながら否定の言葉を口にした。
その様な行為をしていた時だった。
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