転校生①
屍河狗威と仮染貂豹が転校生がやって来たと言う教室を外から眺めていた。
ひょっこりと教室の扉から顔を出して、生徒の顔を確認している。
「で、どれが転校生なんだ?」
屍河狗威は、どれが転校生であるのか、仮染貂豹に聞くと、彼は手帳を取り出して確認する。
手帳には、転校生の名前が記載されていて、その名前と特徴が一致する人物を探し出していた。
「押すな、ちょっと待て、確か…」
と。
仮染貂豹が探している時だった。
彼と、屍河狗威の背後から、幼い声色が聞こえてくる。
「あ、屍河狗威だぁ~」
名前を呼ばれた屍河狗威は後ろを振り向いた。
ツインテールをした、地雷系メイクをした女子生徒だった。
屍河狗威は彼女に名前を呼ばれた事に驚きを覚えた。
誰でも、後ろから声を掛けられたら驚くものだろう。
屍河狗威は、彼女の顔を睨んで言い放つ。
「っ、なんだよ、誰だよあんた」
そう屍河狗威が言う。
仮染貂豹は後ろを振り向き、その女子生徒の顔を見て、屍河狗威と交互に見合わせた。
「狗威、知り合いか?」
最初から、屍河狗威は彼女の事など知らないと言っている。
だから、屍河狗威は再度、彼女の存在を伺う。
「知らねえよ、おい、何の用だ?」
そういうと彼女は頬を膨らませた。
屍河狗威の物言いが少し気に入らなかったらしく、ふくれっ面をしている。
「え~?用があるのはそっちでしょ~?」
そう言われて、屍河狗威は首を傾げる。
しかし、いち早く勘付いた仮染貂豹は手帳に記された情報と彼女を照らし合わせた。
「…ちょっと待て、お前…」
屍河狗威の肩を掴んで引っ張る。
早々と、その女子生徒と屍河狗威を突き放した。
「おい、狗威、こいつだ」
手帳を彼女の方に向ける。
屍河狗威は、彼の言いたい事を汲んだ。
彼女こそが、転校生であり、術師であった。
屍河狗威は有り得ないと、彼女の顔を見た。
「はあ?このちんちくりんなのが、術師なのか?」
何せ、術師には無意識に流力を垂れ流す事がある。
その為、術師と邂逅した際に、流力が流れている事から術師である事を察せられるのだ。
だが、今の彼女には術師として流力が流れている様子は無かった。
其処に引っ掛かりを覚えた屍河狗威は、そう仮染貂豹に言うのだが。
「バカ!探りに来たのにそんな事を口に出すな!」
そう屍河狗威に言う。
あくまでも偵察である。
術師が、身分を晒されれば抵抗する可能性がある。
そうなれば、否応でも戦闘に繋がり兼ねない。
別段、戦う事が悪いと言う訳ではない。
学校と言う人の目がある空間で戦闘を行う事が悪い事だった。
しかし、戦いに発展しそうな雰囲気では無かった。
「そうだよ~ロネは術師なの!」
呑気に彼女は術師である事を認めた。
まるで、戦いなどはなから想定していないような呑気さだった。
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