憂鬱な夢④
そして仮染貂豹は自分が調べた情報を屍河狗威に話し出した。
「俺や阿散花が学校へ転校するよりも前」
屍河狗威が多く戦い続けたことで学校不在が多かった時期だ。
「大体一週間前か、どうやら転校生が来てたらしい」
仮染貂豹はページをめくる。
そしてなぜ転校しに来たのかその理由を説明した。
「表向きは、地方の学校が地震による倒壊で、学校が復旧するまで臨時移校して来た生徒らしい」
災害などが起きた場合。
学校での勉強ができない状況になると自宅学習か近隣の学校へ移動して授業を受けることがある。
そのまま学校が復旧してもその学校に転校扱いで在籍する事例も少なくはない。
「へぇ…それが術師だってのか?」
珍しい事例であるために一気に術師がやってきた信憑性が高まった。
「あぁ…全部で六人居るらしくてな、道理で俺らみたいな連中が転校してきても、あまり学校中で話題にならないとは思ってたんだ」
そもそも転校してくること自体がクラスの中ではちょっとしたイベントだ。
騒ぎ立てたり矢継ぎ早に質問攻めにされることが多いだろう。
確かに仮染貂豹も質問はされたがほとんどの生徒は関心が薄かった。
仮染貂豹という存在がタブーの扱いをされているために話しかける生徒が少なかったのかと思われたが何度も転校生がやってくれば興味が薄れるのも無理はない。
「まあ、複数人の転校生も、二回もありゃ衝撃は薄れるわな」
屍河狗威も納得して頷いた。
「で、だ、狗威、調べてみたら、その地震で倒壊した学校はどうやら術師による戦争が遭った地域らしくて、その学校はその戦争の影響によって倒壊したんだと」
屍河狗威が起こした戦争に比べればその地域で行われた戦いは小競り合いのようなものだ。
それでもその影響で建物が壊れてしまったのだ。
かなり派手な戦いに違いないだろう。
「それで、殆どの学生は近隣の学校へ移校したが、態々遠方の、この学校に六人がピンポイントでやってきたってワケだ」
別段屍河狗威の通う学校は進学校でもない。
特に目立った部活動の功績も立てていない普通の学校だ。
そんな場所にわざわざ6人も通うなど都合のよすぎる話だった。
「はぁん…つまり、そいつら、喧嘩を売りに来たってワケか」
屍河狗威は面白そうに指を鳴らした。
好戦的な態度をとる屍河狗威に仮染貂豹はたしなめる言葉を口にする。
「いや…まだそうと決まったワケじゃないが」
これはあくまでも可能性だ。
その転校生が術師として何かしたわけではないまる能力を使っていないので推定術師でしかなかった。
「早速、その転校生とやらを見に行こうぜ、敵対する意志があるのなら、喧嘩を買ってやっからよ」
退屈な日常が少しはマシになるだろう。
これで戦いに発展したとしても術師としては腕を鈍らせてはいけない。
「なんで、そこまで気性が荒いんだ、お前は…」
先に屍河狗威に伝えたのは失敗だったと仮染貂豹は思った。
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