妃龍院家へ②
妃龍院家の当主が屍河狗威の元へやって来た事で、驚きの声を挙げる仮染貂豹。
「…ご当主自らお出迎えかよ」
いち術師。
それも、他からやって来た存在を此処迄手厚く持て成す事など早々ない。
だから、当主が出て来て、屍河狗威を抱き締めて、思わず信じられない光景を目の当たりにしたと思った。
「暫く会わぬ間に逞しくなったの」
胸元で彼の体に手を添える妃龍院憂媚。
屍河狗威も手を回し、彼女の腰から下へとずらしていき、柔らかな臀部に触れる。
そして、尻の肉に食い込ませる程に強く、彼女の臀部を揉みしだいた。
「龍神様も色々と育っているご様子で」
屍河狗威は嬉しそうに言った。
その手つきに思わず声が漏れてしまう。
「くふっ、坊を悦ばせたくてのう、禁欲をしておるのじゃ」
頬を紅潮させる妃龍院憂媚。
性欲の発散を我慢しているからか、肉体に張りが出来ている。
荒く呼吸をする彼女は、耳元で屍河狗威に囁いた。
「そのせいか…体が熱うて熱うて仕方がない…」
彼女の髪を掻き揚げながら、屍河狗威は厭らしい笑みを浮かべて告げる。
「オレが鎮めてあげましょうか?」
五指を何度も動かしながら卑猥な動きを見せる。
妃龍院憂媚は満更でも無い様子だったが。
その近くに居た護衛の者達は慌てていた。
「待て待て貴様ッ!」
「無礼者めがッ!!当主様から離れろッ!!」
完全に犯罪者の様な扱いである。
これに対し、屍河狗威も怒りを浮かべて叫んだ。
「あぁ?!なんだ痴れ者がッ、俺を誰だと思ってやがるッ!!」
彼女との逢瀬の邪魔をされた。
それが自陣の仲間であろうと関係ない。
狂犬の如き、誰にでも牙を剥ける姿勢。
それを見て、外からやって来た仮染貂豹が止める。
「お前が待てッ!本殿の部隊だろうがッ」
屍河狗威の肩を掴んで引き剥がした。
妃龍院憂媚は、恨めしい表情をしている。
折角の、屍河狗威との時間に水を差されて気分を害されていた。
「なんじゃ、貴様ら、妾と坊の蜜月を邪魔するのかえ?」
彼女の睨み。
しかし、それに屈する護衛たちでは無い。
「立場を弁えて下されッ」
「貴方は由緒正しき、妃龍院家の顔なのですぞ?!」
そう言われて、彼女も少しだけ妃龍院家の頭首としての自覚があったのか咳払いをする。
「むむ、いや、致し方なし…ではの、坊…また、夜にでも」
手を軽く振って、背を向ける。
歩く姿すら色っぽく移り、屍河狗威はサングラスの奥で彼女の臀部に釘付けだった。
「はい、楽しみにしてますッ」
屍河狗威は嬉しそうに言った。
しかし、その隣では大層詰まらなさそうにしている。
「…」
阿散花天吏の顔がそこにあった。
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