5話 ヴァンパイアってのはこんなもんか、

はあ、てか、こういうゲームってエリアボスの前になんか雑魚キャラ出てくんじゃないんだっけ?

こういうゲームあんましないからわかんねえな。

俺、やるの基本FPSだけだからな。

さーて、やっと鳥リンガルの実力を見れるのか。楽しみだな。


「じゃあ、鳥リンガル、お前が先に行け。

俺は、あとから登場する。

ヒーローってのは遅れて登場するもんだからな。」


「ざけんなよ。

でも、まあ、俺が先出て、ヴァンパイアの戦闘スタイルあぶり出すから、しっかり観察して仕留めてくれよな。」


意外と乗り気だったな。

絶対キレてくるもんだと思ってたのに。

ゲームの中だと、性格変わるタイプなのか?

ま、飛井に限ってそんなことはないか。


「よっし、じゃあ、いっちょやってくるわ。

しっかり目に焼き付けとけよ。」


「おう、任せた。」


なにかに胸を張って歩いていく鳥リンガルの自身に満ち溢れた後ろ姿に吹き出しそうになったが、こらえてみる。



鳥リンガルは、光煌剣を装備した。


「さぁ、先手必勝ってこと見せてやるぜ。」


早速体力35を献上して、必殺技が出るようにして、攻撃を仕掛けていく鳥リンガル。

ダメージ400を叩き込んだ鳥リンガルはドヤ顔をこっちに向けてきたが、ヴァンパイアは怯むことなく姿を消した。

姿を消した、、、?

速すぎて、見失っただけか?

それとも本当に姿が見えなくなっている、または、姿を消しているだけなのか?

どちらにせよ、厄介が過ぎるな。

あたりを見回していると、鳥リンガルの首筋にヴァンパイアがへばりついていた。


「鳥リンガル、首筋!」


俺が大声を出すと、鳥リンガルは急いで首筋に攻撃を繰り出した。

それを華麗に避けたヴァンパイア。

おいおい、これやべえな。

動きが見えない。


「鳥リンガル!お前、残り体力は?」


「はあ、はあ、、

70。」


くっそ、もうあいつは駄目だな。

でも、まあ、よくやってくれたほうだろう。

あいつの対処法はなんとなく浮かんだ。

けど、このままだと鳥リンガルに攻撃が当たったら死んじまう。

庇いながらやんないといけねえのか。

おもしれえことしてくれやがるな。


「ナイスだよ、鳥リンガル。

チェンジだ、後は任せろ!」


「おう、頼んだ。」


俺と鳥リンガルは思いっきりハイタッチをした。

さあ、俺の出番か。

せいぜい叩きのめしてくれるわ。


相手の体力は、580か。

鳥リンガルって、もうLv20もあんのかよ。

おっと、こんなしょうもない逆算をしても意味ないな。

さて、どんな風に仕掛けていこうかな。

まあ、まず、体力削り要員で光煌剣で400ダメージ与える。

で、そのあと、漸筋で攻撃を見切って、カウンターで殺る。

よし、これでいけっかな。

まあ、やってみればわかるだろ。


『装備 光煌剣』


さーて、疾風で一気に詰める。

で、体力35献上で必殺技発動。


ヒット 400


まずはこう。

で、このあとこいつは、、、、、

やっぱりな、姿を消した。

ということはどっかで吸血のタイミングを図ってくる。

カウンターで返すまでだがな。

ただ、こんなん肉眼で捉えられるわけがねぇ。

こんなときには剛覚使うしかないっしょ。

剛覚発動!

おお、めっちゃ見えるし、聞こえる。

五感の強化ってだけで弱そうだったけど、まあまあつええじゃねえかよ。

ヴァンパイアも見えるんだけど。

やべえな、マジでこの力。

最強かよ。

まだ詰めてこなそうだな。

ただ、高速移動しているだけか。

ならこちらから詰めるま、、、、、、

詰めようとしたらあっちが詰めてきた。

やべえ、これは受けきれねえ。

疾風!

俺は後ろに動くようにして、距離を取る。

よし、時間は稼げた。


『装備 漸筋』


レオのときと同じように見切れ!


バアァァーン


俺の漸筋とヴァンパイアが思いっきり衝突して、突風と砂埃が巻き起こった。

砂埃が収まると、うなりながら苦しんでいるヴァンパイアが見えた。


「やったの、か?」


俺は状況がつかめなかった。

まさか、この弾きで大ダメージを入れれるなんて、思いもしなかったから。

地面を見ると、牙が落ちていた。

ヴァンパイア、思ったより手応えなかったな。

こんなもんなのか?

レオのほうが全然強かったな。

どういうことだ?

たまたま運が良かっただけってことか?


「はっ、、、」


ヴァンパイアが動き出した。

仕留めきれてなかったのか?

いや、そんなことはないな。

大分弱っている、、な。

体力のゲージは、、、、

3、、か、、、

瀕死じゃねえか。

おい、姿消しやがった。

剛覚でも捉えられねえ。

これやべえな。

あの瀕死の状態でどうやってあんなに高速で動けんだよ。

意味がわかんねえ。

勘かよ、くっそ。外したら大ダメージだな。

多分だけど、吸血されてても自分じゃ気付けない。

ただ、鳥リンガルはもう動けないし、多分気絶してる。

俺は残り体力365。

吸血されても、すぐに離せば、ワンチャンいけるかもしれない。

少しぐらいは、食らっても我慢になりそうだな。

一回深呼吸しとくか。

いつ来るかわかんないのって、結構ドキドキすんな。

まあ、大丈夫だろうけど。


「ゴルゴンゾーラ、首筋!」


突然、鳥リンガルからデカい声が聞こえてきた。

よく考えると、首が重たい感じはなんとなくしていた。

でもこれが本当にヴァンパイアだとは思っていなかった。

俺の残り体力140。

どんどん減っていってる。

ヴァンパイアの体力は228。

これなら、、行ける!

スタミナブースト発動!


体力140→440


『装備 光煌剣』


これで終わりだな、ヴァンパイア。

思ったよりも強かったぜ。


「ありがとよ、ヴァンパイア。

楽しかったぜ」


俺は自滅覚悟で、思いっきり首筋に刃を突き立てた。


ヒット 300


『ヴァンパイア 撃破』


表示が出た後、首筋は軽くなって。そこから塵がどこかに吹いていった。

殺った、みたいだな。

あぁ、ホント疲れた。


「ナイス過ぎるわ、ゴルゴンゾーラ。」


「ナイスコールだよ、鳥。

お前のお陰で勝てた。

強いて云うならもっと動けよ」


俺はそう言って、笑って見せる。

ガチで疲れたな。

すぐ寝たいわ。


「仕方ねえだろ、俺の仕事はお前にあいつの戦闘スタイルを見せることなんだから我慢しろよ。

俺もよくやったろ。

あと、なんだよ鳥って」


「鳥リンガルって長いからめんどくさいんだよな。

別にいいだろ。」


「仕方ねえな、まあいいよ。」


さーて、次の相手はどんなやつなんだろうな。

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