第6話「競輪の必勝法と暗躍する市場」

「先生、暇ですね」

「君、それは言わない約束だろ」

「いいのですか、職に就かなくて」

「いいか助手よ、働けばいいって訳じゃないんだ」

「ではなんなんです」

「自分に正直になれ、それだよ。」

「なるほど、では正直申しますと、このままだと破産します」

「そうか、ならバクチを打つか」

「なんです、バクチって」

「賭けだよ、賭けをしよう」

「宝くじですか?」

「そうだ、私はね、宝くじの必勝法を心得ているのさ」

「ほんとですか?」

「ああ、行くぞ」

「それで、どうするんです」

「全ての宝くじ券を買うのさ!!!」

「なるほど、それなら確実に当たるでしょが、そんな大金ありませんから」

「では退散だ」

「はー」

「まーそう落胆するな、まだ策はある」

「なんでしょうか?」

「競輪だ」

「確か、自転車のレースでしたよね」

「ああ、ここにも必勝法があるのさ」

「ほお」

「では行くぞ」

「着きましたよ」

「競輪には掛け方がある、まずは1位だけを狙う単独賞だ、それと上位3位を狙う三角賞がある」

「はい」

「なんだ分からんか競輪の穴に?」

「えー整理すると、1位を当てるのと、3位以内を当てるのがあるという事ですよね」

「そうだ、つまり1位にかけて、3位以内にもその一位をかけるんだ」

「そうすれば、仮に1位を当て損ねても、三角賞に入っていれば、お金はもらえる」

「その通り、これを二倍買いというのだが、事実これを8人でやれば、8人から3位を引き、残りの8×16種を三角賞に入れる、そうすれば、どうだ」

「なるほどパターンは最大で16だから、その三角賞なら8人買いすれば、必ず当たると、」

「ああ、そうだ、だが問題もある、1位が必ず三角賞に入る必要があるんだ」

「だから8人買いすればいいのでは」

「いいか確かに8人買いすれば3人以上は当たるのは確実だ、だがどうだ、残りの4人が損をする」

「なるほど、つまり、ギリギリ、競輪は利益しか出ない仕組みになっていると」

「その通りだ、競輪は儲かり続ける仕事なんだ」

「では、どうします、」

「そこでそれを逆手に取るんだ、」

「ほお?」

「実はな、2倍買いを8人分買うとしよう、そしてそれを1週間の周期によって損する4人分をローテーションで変えていく、そうするとだな」

「なるほど!!」

「そうだ察しがついたか?」

「2倍買いで買った額は必ず2倍で戻ってくる」

「その通りだ、必ず勝てるんだよ」

「では先生は損失する4人から2倍買い以上は買うなと言えば」

「そうだ永遠にこちらが儲かるのさ」

「天才ですか!!先生!!!」

「ははは、まーこれには対策もあってな」

「なんです」

「レートが変わるのさ」

「レート?掛け金ですか」

「その通りだ、競輪の場合レートは、賭けてる人÷倍率なんだよ」

「つまりは・・・」

「そう競輪に参加するすべての勝負師と結託しないと、確実な利益は出ない」

「では、必勝法ではないじゃないですか」

「いや、実は競輪もある程度グラフ化出来るんだ、」

「つまりは?」

「つまり二倍買いの利益だけで8人買いをする指標を提示してくれるサービスがあるが」

「それって、いわゆる・・・」

「そうだ、まーあんまりお気に召さないと思うが、競輪市場だ」

「ま、そのグラフも売られてるってことは、損もするってことですよね」

「そうだね、市場グラフは、基本的に経営とつながってるからな」

「なるほど、では、まー。運勝負って事ですね」

「だな、人生は甘くない、甘くないんだ」

「その通りですね」

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書斎 絶遠深域 @TooGosick

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