第2話「青春の病は七色の虹を呼んだ」

「先生、雨ですね」

「そうか、つまり、一生家に居なくてはな!!!」

「なぜ一生なんですか」

「知らないのか、雨には酸が含まれているんだ、つまり溶けてしまうのだよ!!」

「いえ、雨にそこまでの毒素はありませんよ」

「いや、私は知ってるんだ、あの話を」

「どんな話です」

「五月雨という話でな、雨に当たると五月病を引きこ起こすという話さ」

「五月病って引きこもりがちになるという意味ですよね」

「そうだ、その原因こそ雨なのさ!!!」

「先生、頭の回路どうなってるんですか」

「なな!!私は本当のことを言っている」

「ルバニスクの話はご存知でしょうか?」

「なんだね、」

「五月病とは子供にしか起こりえない、青春の病である」

「なんだ、それがなんだというんだ」

「つまり先生、子供ってことです、もっと言えば幼稚だと言うことです」

「なぬ!?私は立派な大人だぞ」

「なら雨に当たっても五月病を引き起こさないのでは?」

「なな・・・貴様、偉人を逆手に取って、論破するとは・・・」

「ひとまず、雨はそう悪いものでもありませんし、少し庭に出てみませんか」

「庭くらいまでなら、まぁいいが」

「では、お茶を用意してきます」

「アールグレイとキディッシュのテリーヌも忘れずにな」

「相変わらず甘々ですね」

「糖分こそ若返る秘訣なのさ」

「なるほど、通りで、先生は子供っぽいのですね」

「いやいや、大人でありながら子供の器を持ち得てる、と、言ってくれ」

「なるほど、つまり子供の皮を被った大人なんですね」

「いや夢見る青年男性と言ってくれ」

「あ、はい」

「いやいや君ね、その話をすぐ片付けようとするの辞めてくれよな・・・」

「お金くれるなら、話しますが」

「きみーーー!!!どういう状況それ、接待なの?もしくはカツアゲ?」

「人聞きが悪いですね、私だって精神汚染受けてるんです、慰謝料ですよ」

「なんか、君、あれだよな、言葉巧み過ぎて、黒も白にする、教祖だよな!」

「教祖ですか、いえ、私を例えるなら、ルールブックでしょうか」

「えーーー・・・いや君って、法律なの」

「はい、なので、私の言葉は日本の支柱であり、私を害するものは刑に処されます」

「いやいや、え・・・、もういいから、戻ってこい」

「なんですか、先生、私が談話を設けたのに終わらせちゃうんですか」

「いや、なんかハイリスクな話で、談話ではなかった気が・・・」

「私の誠意を、返してください」

「いや、待て、分かった、悪かった、ここは君にも私のテリーヌを分けるよ」

「テリーヌですが、実はもうないんですよ」

「え?なぜだ」

「食べました」

「え?君?どういうことだそれは・・・」

「先生が、将来的に糖分中毒にならないように、食べました」

「う。う。・。。。う・・・うう。」

「え?先生?なんで泣いてるんですか」

「そのテリーヌはな、期間限定もので、しかももう再販されない、ウルトラレアだったんだよ・・・う。うううう」

「え?そ、それは。。。すみません」

「美味しかったか?」

「ええ、」

「そうか、なら良い」

「え?良いんですか、プレミアショップで買付ますよ」

「いいよ、君が美味しく頂いたなら、それで満足だよ」

「先生、すみません、本当に」

「いいよ、私だって初めは一人で食べようとしていた、だからおあいこだ」

「先生。私今度、作ります、味は覚えているので、作りますよ」

「いいよ、そこまで、テリーヌはオランダの食べ物、材料費だけで破産するぞ」

「でも、先生の好物を、私の身勝手で」

「いいさ、人は誰しも間違える、だがその時、絆が見えてくるもんなんだよな」

「先生、お上手ですね」

「おお、虹が見えるぞ、」

「ほんとですね、とてもまぶしいです」

「なぁ助手、いま私たちは上を見ているんだ、そう気分も上々だろ」

「なんか、おかしな日本語ですね」

「絆は見えたか?」

「見えました、見えましたよ」

「私もだ」

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