廃人の書斎

絶遠深域

第1話「人海戦術と善人な相棒」

「先生、朝ですよ」

「それは大変だ、寝なくてはな」

「いえ、起きてください」

「君、静養も無しに人は生きれないのだよ!」

「8時間以上寝てますよね」

「時間の問題ではない、休めたかが問題なんだ」

「そこまで威勢を張れるなら、大丈夫ですよね」

「これは火事場の馬鹿力であり、瀕死寸前なんだよ!」

「では、良いんですね、あれをあれにしても」

「何を言っている、あれとははんだ?」

「では、あれをあれにしてきます」

「おいおい、何を目論んでいる、せめて言ってくれ、何の事か言ってくれ」

「では、」

「まてーーい!!!起きた、起きたぞ!で?なんだあれとは」

「いえ、特に何もないです」

「貴様、はめたな、もてあそんだな!!この私の好奇心を!!!」

「実際、起きれたので、静養は取れていたんですね」

「はぐらかすでないぞ!」

「では、お詫びに、朝ごはん食べに行きましょう」

「おお、いいな、では、あの店へ行こう」

「あのとは?」

「はっはっは、気になってしまったか、だがしかし言わない、」

「何、張り合ってるんですか」

「私だって、やられてばかりではない、策士であり、共謀者なのだ」

「共謀というか一人ですよね」

「甘いな、私には分身が居る、魂の契約を果たしたソウルフレンド、死神がついているのさ!!!!」

「そうですか」

「いや、反応軽くない?」

「ツッコんでも面白みないと思いまして」

「ぐは!!!なかなか傷つくな、さては人海戦術を心得てるな」

「は~・・・」

「いや、もう・・・なんか言ってよ・・・」

「で、どこ行くんでしたっけ」

「ああ、最近できた、茶漬けのおいしい店だ、名は確か、チャッキーだ」

「そうでしたか、教えてくれてありがとうございます。」

「あ!言ってしまった・・・貴様、コールドリーディングも出来るんだな!!!」

「特段、会話術を会得しているわけではないですよ、しかしまー、先生は分かりやすくて良いですよね」

「なに、私って、そんなに、扱いやすいのか」

「しかしそのほうが得だと思いますよ」

「どうしてだ?」

「期待値がない人ほど、責任は回ってきませんから」

「そうか、え?いや、私だって、やるときはやるぞ!!」

「その物付き合いの仕方から、ダメっぷりが伝わるんですよね」

「ではなんといえば良いんだ??」

「私ならこう言うでしょう、その責務、及ばずとも真摯に全うします。」

「何!あえて下手に出て、好印象を与えるだと!?それがワールドアンサーだったのか・・・」

「いえ、しかし、社会とは勝てばいい場ではないのですよ」

「そうか複雑だな」

「嫉妬や、劣等感、上下関係、それらを交えて、思考するのです」

「なるほどいい勉強になった」

「ではテストです」

「おお、どんと来い」

「上司が席を設けたら、払いは誰がしますか?」

「そんなの簡単だ、上司がする!」

「そうですね、ではそれを手本に今日、お願いします。」

「ん?今日?手本?何を言って…まさか君は!!!朝ごはん代を!!!!」

「あれ、出来ないのですか?」

「なんという、窮地!!、払えば大人、払わずれば、若輩者、なんというトンチだ!!!」

「冗談ですよ、私たちはそういった社会関係ではないでしょ」

「それもそうだな、私と君は、相棒だったな。」

「随分と、愛らしいことを言いますね」

「なんだ、違うというのか?」

「いえ、先生って、言いたいことを言えてしまう、とてもいい才能をお持ちですよ」

「そうなのか、なんか嬉しいな、」

「では、行きましょう」

「ああ、チャッキーへ行くぞ!」

「はい」

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