第11話 不良ミミンと呼ばれて
「不良少女と呼ばれて」
1978年に筑摩書房より出版されベストセラーを記録した、舞楽家の原笙子さん(2005年没)著の自らの少女時代を綴った自叙伝です。
そして1984年に伊藤麻衣子さん主演で、テレビドラマ化され人気を博しました。
◇◆◇◆◇◆◇◆
被害者の事がわかったから教えてやると言う、私にとってはどうでもいい情報を伝えようとする、謎の男。
「おっと、その前にお妃様からお前に大事な伝言がある」
「なんですか?」
「婚約破棄されたミミン、お前の恋は壊れやすい。ビタミンCのようにね……だそうだ」
「…………」
あなた達は何の話をしてるの?
いつ、どこで、どんな内容の話をしたら、その伝言に行き着くのか問い詰めたいよ。
「被害者の事なんだが、お前の父親とも親友だったようだな」
「え? そうなの? つ、つまり私の父と被害者、そして犯人の三人は親友だった……って事?」
「ああ。どうだ! これで全ての線が繋がった」
「……その繋がった線の内容を教えてよ」
「いいか? よく聞けよ? ミミン、お前は皇太子様と婚約して恋人……つまり被害者が邪魔になった。そして、お前の指示を受けた犯人と、被害者は夜一緒に帰宅していた。そして、別れた後に犯人は公園に引き返して被害者を殴打した。そしてお前は計画通り第一発見者を装う為に公園で被害者を発見した」
「でも私が被害者と恋人だと言う証拠なくない? こないだの亀の手紙だけでしょ? 宛名がないし、あんなのは証拠能力ないよね? イタタタタ!」
なんでこの男は、いきり立つとすぐに私の髪の毛を鷲掴みにするの?
「おい! これでもまだしらを切るつもりか? おい! どうせ優勝なんかしないコンテストの作品を作ったって意味がないだろ! さっさと自白しろ!」
「イタタタタ! 痛いよ! それに優勝しないかなんて、やってみなきゃわからないじゃん!」
「……お前は強い……いや、強情な女だなミミン」
「あと、私は事件には無関係だから! 本当にいい加減にしてよ!」
私の心の叫びに、男は掴んでいた私の髪の毛を離し、机に座り葉巻を吸い出しました。
「ミミン。お前がこないだ言っていた処刑が即日行われた件だが……」
「うん」
「お前の言う通り、この国は法治国家でもある。だから、全ての犯罪に対しては裁判を行い、判決を出してから処罰される」
「だよね? おかしいよ!」
「今までにそんな事例はない。だが……」
「だが?」
「それを行える人物……いや、行える名家がある」
「……」
「それがお妃様のアンドレアス家だ」
「……」
「これ以上はお前には関係ない。それを調べるのは俺の仕事だ」
「……」
「今日は帰るぞ。まあ、せいぜい頑張って良い作品を作るんだな。欲望まみれの白雪姫」
「シンデレラでしょ?」
「じゃあな」
ガチャ。
駄目だ。
やっぱりあの男が来ると作業意欲が下がるよ。
しかし私はその後2時間程、コンテストの作品作りに没頭して、いつの間にか座ったまま深い眠りについていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます