幸せ色の週末。

最終話：舞子・・・君ってやっぱり面白い。

日菜太が舞子を連れて実家を訪れてから数日後の宝来家の両親の会話。

日菜太の父親、新蔵が言った。

「舞子さんか？・・・なかなかいい女だな」

「日菜太にはもったいない・・・」

「あなた、なに言ってるんですか？」

「いや〜美人さんだなと思ってな・・・わしに紹介しくれんかな」

「また〜・・・バカなことおっしゃい・・・息子の彼女ですよ」

「冗談だって・・・」

「あなたの場合、冗談じゃすまないことがありますからね、油断も隙も

ありませんから」

「それより、私は、日菜太のお相手、あの方でいいと思いますけど・・・」

「昔ならともかく今時、親のいうことを素直に聞く子供なんかいませんよ」

「押さえつけたら逆効果ですよ・・・ふたりを許してあげたらどうですか？」

「親子なんですから意地の張り合いしたってはじまらないでしょ」

「そうだな・・・今時、政略結婚もないしな・・・」

「無理強いすれば逆効果、いらざる遺恨を招く素か・・・」

日菜太の父親が頑なに日菜太と舞子の結婚に反対しなかった理由には

勝子と自分の過去が影響していた。

実は勝子は日菜太の義理の母親で、実の母親は日菜太が幼い時亡くなっていた。

なもんで、妻を亡くした新蔵「父」はその寂しさからクラブに通うようになった。

そのクラブで店のママをしていたのが勝子・・・勝子を見初めた新蔵は押しに

押しまくって勝子を落として結婚した。

そういう経緯があることから新蔵は日菜太に偉そうなことは言えなかったのだ。

ってことで勝子の全面的バックアップもあって新蔵も舞子を認めた。

そして日菜太と舞子。

「舞子、さっきお袋から連絡があって、俺たち一緒になっていいってさ」

「親父が快く舞子のことを認めてくれたんだって」

「それほんと？・・・ほんとね？・・・よかった・・・よかったね日菜太」

「しかたなくとか、じゃないよね」

「大丈夫だと思うよ、親父も頑固だけど一度認めたら二度と反対したりは

しないよ・・・そういう性格の人だから」

ってことで日菜太は実家を出なくてよくなったし、願い通り舞子といっしょに

なることができそうだった。

一時は一悶着あるかと思われた結婚問題だったが、なんとか丸く収まった。

その夜のこと、日菜太は舞子にプロポーズした。

それはね、日菜太と舞子がソファーでラブラブ「エッチ」する前のこと。

「舞子・・・健やかなるときも病めるときもコスプレ奥さんいてくれる？」

「あはは、神父さんみたいなこと言ってる」

「コスプレ奥さんってなに？」

「結婚したとたんに、コスプレなんて嫌だって言われると困るから」

「俺に誓ってもらわなきゃ」

「大丈夫だよ・・・一生日菜太の女子高生でいてあげるから」

「だけど、今はいいけど・・・私がおばあちゃんになってセーラー服って

どうかな？・・・ちょっとキモいよね」

「貫禄がでていいんじゃないか？・・・かっこいいじゃんそれも」

「そうね、メガネなんかかけたりしてね・・・日菜太さん体力落ちてますよ」

「なんて言ってね・・・」

「舞子・・・君ってやっぱり面白い」

「俺、一生、飽きないでいられそう・・・舞子が「彼女募集」に応募して

くれてよかった・・・」

「最初は高額報酬に引かれて来たんだって思ったけど、舞子のその欲が

なかったら今ここに君はいなかったんだもんね」

「うん、私も「彼女募集」に応募してよかったって今は思うよ」

「その選択遺憾で俺と舞子の運命も変わってたんだ・・・人生の分岐点って

必ずあるんだね」

「そうだね・・・でも私、思うんだ・・・もし彼女募集で私たちが出会って

なかったとしても、きっと違う形で私たち出会ってたって・・・私はそっちの

運命を信じるよ・・・」

そう言われて日菜太は舞子を、いたわるように抱きしめた。

「舞子・・・エッチしたい」

「いいよ」

「あのさ、これ使ってもいい？」

そう言っては日菜太はソファーの下からバイブを取り出した。

「舞子をいじめたい・・・」

「え〜違う方向にエスカレートしてってるじゃん、日菜太」

おしまい。