第6話:偏見。
「・・・そうなんだ・・・ちょっと驚き・・・かな」
「でも、舞子・・・やっぱり君は面白い」
「あ、ごめんね、デリヘル嬢だったってことが面白いって言ってるんじゃ
ないからね」
「君は僕を、いろいろ驚かせて飽きさせないから・・・」
「今日まで黙っててごめんね・・・隠すつもりはなかったんだよ」
「ただ話すタイミング逃しちゃって・・・」
「ほんとにごめんね、だから私たち別れたほうがいいならそう言ってね」
「あのさ、舞子・・・職業っていろいろあるじゃん」
「俺の親父はさ、若い頃ゴミの収集や廃品回収とか人がやりたがらない嫌がる
ことを仕事にして来たんだそうだ・・・汚いとか、不潔とか言われながら、
人から白い目で見られながら、僕たちを育てるためにがんばってくれたんだ」
「でも、そういう仕事をする人がいないと人々の生活が成り立たないだろ?」
「いろんな職業に携わってる人がいるから世の中が回ってるわけだよね?」
「だから、これはいらないだろうって職業なんてないと思うんだ」
「俺はどんな職業の人でも平等じゃなきゃいけないって思ってる」
「偏見を持っちゃいけないって・・・」
「だからデリヘルだってさ、寂しい独身の男性たちが潤ったわけだから」
「それだって立派な職業だって思うよ・・・たとえ他の風俗だってさ」
「だから〜舞子が過去にデリヘル嬢やってたって聞いても俺は嫌じゃないし
偏見で見たりしないよ」
「今、やってるよって言われたら、そりゃやめてって言うかもしれないけど。
僕って彼氏がいるのに彼女にそんなことさせられないもん、それはさすがにね」
「それさ、仕事にしたって恋愛にしたって今時、女の子の過去のことを
気にしてたらキリがないよ」
「だからさ、ちっとも気にしないよ・・・それが俺の本音、答えだよ・・・」
「俺たちが、そんなことで別れるなんて、ありえないでしょ」
「ちょっと回りくどかったかな?」
「まじで?・・・・・・いいんだよ日菜太、気を使ってくれなくても」
「だから、気にしないって言ってるだろ?」
「じゃあ、いいのね・・・私でいいのね」
「そうだよ、舞子しかいないの、僕には」
「それに彼女募集に応募してきたモノ好きな子は舞子だけだし・・・」
「だからこれからも、なにも変わらないから・・・いい?」
「うん、分かった・・・ああ・・・ホッとした」
「それよりさ・・・さっきも言ったけど俺たち付き合い始めてもう一ヶ月じゃん」
「そうだけど・・・?」
「俺たち中学生の恋愛じゃないんだから、いつまでもプラトニックな関係って
不自然だと思うよね? 」
「あ〜さっきの続き?、私が話を止めちゃったから・・・」
「それで?」
「それでね・・・」
つづく。
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