第3話:いきなりホテル?

日菜太の「まともな彼女募集」に応募した舞子。

運良く?かどうかは分からないけど、他に誰も応募してこなかったことから

とりあえず舞子は日菜太と付き合うことになった。

日菜太から断られなかったし、舞子もやめますって言う理由もなかった。


舞子にとって、ひとつ心配なことは日菜太の性格と女関係。

だいたいにおいて、お金持ちの御曹司なんて親から甘やかされて、お金でなんでも

解決してきたせいで虚栄心の塊、プライドが高くて常に上目線。

日菜太の根性が腐ってたら、この話はないかなって思ってた。


それも日菜太が言ったように付き合って見ないと分からない。


日菜太は日菜太で舞子に一目惚れしたが最初っから自分の下心を見せたくなくて

冷静さを装っていた。

本当は心の中では舞子を見て「まじか」って思った。

こんな美人さんが、あんなダメ元な募集に応募してくるなんて、よほど金に

困ってるか他になのか理由でもあるのかと思った。


仕事を辞めた舞子はたしかに生活費に困っていたし高額報酬に惹かれたのも事実。

はやく勤め先を探さないと今、住んでる安マンションを追い出される羽目になる。


で、とりあえずは舞子は就職活動を始めなくちゃいけないので日菜太との初デート

は週末に、ということに決まった。


「それじゃ土曜日、またマンションへお伺いします」


「それもいいけどさ・・・マンションでデートってのもイマイチだと思わない? 」

「最初は外で待ち合わせしてデートしようよ・・・恋人どうしみたいに・・・」


「いいですけど・・・」


「土曜日の午前中9時、駅前のパンダの石像の前で待ち合わせね」


ってことで最初のデートの予定が決まった。

お互いの未来はまだ闇の中、トンネルをくぐってみないと光は見えない。


その間、舞子は就職先を探した。

例の高額報酬にはまだありついていなかったし・・・。

催促するのもみっともないと思ったのでクチをつぐんでいた。


で、見つかった仕事は精密部品を作ってる小さな会社の事務。

以前よりずいぶん小さな会社だったがは、舞子はそれでよかった。


そして約束の土曜日が来た。

舞子は支持されたとおり駅前のパンダの前まで行くと、まだ9時までに15分も

早かったのに、日菜太は先に来て待っていた。


日菜太は案外時間にはきっちりしてる人かなって舞子は思った。


「お待たせしました」


「俺もさっき来たところです、舞子さん」


呼び名がいつの間にか生田さんから舞子さんに変わっていた。


今日の舞子は一段と輝いていた。

自分自身のため、日菜太のため、お洒落した。

季節に映えるブルーのワンピース。


日菜太は改めて舞子の立ち姿をまじまじと見た。

日菜太のマンションではソファに座ってる舞子の印象が深かったから

改めて見た舞子のスレンダーなボディーは誰よりも群を抜いていると思った。


この人とこれからデートかって思うと日菜太はドキドキした。

もちろん女性と付き合ったことがない訳じゃないし、ガールフレンドだっている。

それなりに女性には慣れてると自分では思っていた。


自分にとって、もしかしたら舞子は特別な存在になるんじゃないかと日菜太は

予感した。


「舞子さん、朝ごはん食べてきた?」


「いいえ、まだです」


「そうそれはよかった」

「じゃ〜とりあえず朝食食べに行こう?」

「この先の路地に洒落たカフェがあるから・・・その店に行こう」


「どこでも連れてってくれるところについて行きます」


駅前から歩いて、日菜太が言ったカフェへ。

カフェの名前は「ひっそりたたずむコーヒー屋さん」・・・可愛い店名だと

舞子は思った。


「このお店よく来るんですか?」


「うん・・・時々ね」


「今度からこのカフェで待ち合わせしようか?」


そしてこのカフェ「ひっそりたたずむコーヒー屋さん」が日菜太と舞子の

定番の店になって行く。


日菜太と舞子は仲良くで朝食をとった。


「お昼までにはまだ時間があるから少し歩く?」

「舞子さんいきたいところある?」


「とくには・・・私はどこでも・・・」


「そうじゃ、これからホテルに行こうか?」

「俺、駅の駐車場に車止めてあるから、そこまで歩こう」


「ホ・ホテル?・・・初デートで?、いきなりホテルですか?」


「どこでもついて行きますって言ったよね、舞子さん」


舞子はまじかと思った。


(ホテルって早くね?)


つづく。

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