第2話:舞子、日菜太のマンションを尋ねる。
舞子が尋ねたマンション・・・見上げるほどの高級高層マンションだった。
バロン・ド・メゾン・50階建・大規模免震タワーマンション。
「わ〜すごお〜〜〜」
「なに?、彼こんなすごいマンションに住んでるの?」
舞子はビビりそうになった。
舞子はマンションの顔認証システムに顔を登録していないためエントランスを
解錠できない。
そこで自動ドアの横の「HOURAI HINATA」と書かれたプレートのインターホン
横の呼び出しボタンを押した。
しばらくするとインターホンから日菜太の声がした。
「生田さん?」
「はい、生田です」
「解除しますから待って、ドアが開いたらエレベーターに乗ってください」
「俺の部屋番号ですけど5003号室です」
「はい、分かりました・・・5003、5003・・・」
舞子は日菜太に教えられた部屋番号を反復した。
日菜太に言われるまま、ドアが開くと舞子はエレベーターに乗った。
高速エレベーターはあっと言う間に日菜太の部屋の階まで上がっていった。
日菜太の部屋の番号は「5003号室」
「この部屋ね・・・」
舞子は、恐る恐るドアホンを鳴らした。
するとドアが開いて日菜太が現れた。
よく考えてみたら、日菜太も舞子もお互いの顔をまだ知らなかった。
だから今、はじめての顔合わせだった。
(お、長身・・・それにイケメン)
日菜太は身長180センチ、髪は短髪、Tシャツにジーンズ、ラフな
格好が好みだった。
舞子は日菜太が多少ぶちゃいく男子でも我慢しようと思っていた。
なにより高額報酬のため。
でも日菜太はけっこうなイケメン・・・日菜太はモテるだろうなって舞子は思った。
たしかに日菜太はモテた、でも半数は彼のお金に対してだった。
「いらっしゃい・・・生田さん?」
「はい、はじめまして・・・
舞子は髪は前髪ありのロングヘア・・・小ぶりな顔に長い髪がよく
似合っていた。
身長はたぶん日菜太よりは低そうだから160センチくらいか・・・。
29才って言ってたわりに、日菜太と変わらない歳な感じがした。
(めちゃ美人じゃん・・・って言うか超べっぴん、いい女)
(こんな綺麗な人が俺の募集に応募したってことは彼氏がいないからなんだ
ろうな?)
って日菜太は思った。
たしかに舞子クラスの女なら男は放っておかないだろうけど、実は半年ほど
前、舞子は付き合ってた彼と別れたばかりだった。
ロクデナシ彼氏はさんざん舞子を振り回したあげく彼女の貯金を全額降ろして
他の女とトンズラした。
屈辱的に彼に逃げられた舞子は、それ以来お金しか信用しなくなっていた。
日菜太は舞子が多少ブスでも性格さえよかったら我慢しようと思っていた。
でも舞子は、思った以上どころじゃないくらいいい女だった。
「どうぞ、お入りください」
日菜太は舞子を部屋に招いた。
「そこにおかけになってください」
そう言うと日菜太は台所へ消えていった。
舞子は高級そうなソファに腰掛けて言った。
「あの・・・すごいマンションに住んでらっしゃるんですね?」
「ああ、俺はここに住んでるだけ・・・ここは親父の持ち物だから」
「こんなマンション所有してるお父様って・・・大富豪とか?」
「そうだね・・・世間一般には年商数百億円の大金持ち」
「生田さんはそこに興味があるの?」
「そういう訳じゃなくて・・・すごいなって思ったから・・・」
もちろんお金に興味がない人なんていない。
「どうぞ・・・本物のコーヒーじゃないけど・・・」
「ありがとうございます」
「で、さっそくだけど俺の彼女になってくれるって本当?」
「そのつもりですけど・・・」
「《付き合ってくださる方、高額報酬》ってのに釣られてきた?」
「あ〜いや、そういうつもりじゃ」
「いいですよ・・・正直に言ってもらって・・・」
「ごめんなさい・・・そうです・・・高額報酬に惹かれてきました」
「やっぱりダメですよね、そう言うの・・・」
「正直な人ですね」
「あの、ところで宝来さんておいくつなんですか?」
「22才・・・現役の大学生」
「22才?・・・じゃあ、私と七つも歳違いますけど・・・いいんですか?」
「だから、ギリセーフって言ったでしょ」
「それに生田さん29才には見えないですよ」
「俺は歳上の彼女でもいいですよ・・・ってことで面接終了・・・っていうか
結局付き合ってみないと分かんないでしょ、男と女なんて・・・ 」
「基本、お金目的で近づいて来る女性はお断りなんですけどね・・・」
「そういうの、うんざりなんです」
「でも・・・俺、生田さんに一目惚れしちゃいましたから・・・」
「え?、一目惚れ?」
「だから恋愛に発展するかどうか付き合ってみましょうよ・・・面白い
じゃないですか」
「退屈しのぎになるし・・・」
「はあ?退屈?・・・退屈しのぎってなんですか?」
「それってヒドくないですか?」
「え?、生田さんなにムキになってるの?」
「私、これでも真剣に来てるんですよ」
「え〜さっき高額報酬に惹かれたって言ったばかりじゃないですか?」
「え?・・・ああ・・・そうでした・・・あはは」
「生田さん、君、やっぱり面白い人だわ」
つづく。
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